24.実戦練習
今日は久しぶりにギルドに来ていた
「あ、エルミアさんお久しぶりです。」
「バルトさん!1週間ぶりですね。何をしていたんですか?」
「魔法の練習をちょっと……」
「そうだったのですね。私、バルトさんに会えなくて寂しかったんですよ。」
「え……」
これは、なんて返せばいいんだー!
「あははは、冗談ですよ!そんな困ったような顔しないでくださいよ。」
なんだ、からかわれただけか。
「からかわないでくださいよ!」
「ごめんなさい、つい。それで、今日はどういったご用件ですか?」
「魔法のバックを買いに来ました。」
「前も言った通り高いですけど大丈夫ですか?」
「はい。いろいろあって大金が手に入ったので、買おうかなと思いまして。」
「そうだったのですね。魔法のバックは大・中・小ありますけどどれにしますか?金額は大は金貨1枚、中は銀貨50枚、小は銀貨10枚ですよ。」
今はアルベルト家からもらったお金もあるし、大を買おうかな。
「大でお願いします。」
「今持ってくるので少し待っていてください。」
エルミアさんが裏えと消え、しばらくして戻ってくる。
「はい、こちらが魔法のバック大になります。」
エルミアさんが持ってきたのは麻袋のような物だった。
「ありがとうございます。」
そういって金貨1枚を手渡す。
「はい。確かにいただきました。今日クエストは受けないんですか?」
「今日はいいです。でも、グルの森には行くつもりなんで、オークとか倒したら素材を持ってこようかなとは思っています。そのために、魔法のバックを買いに来たので。」
「そうだったんですね。でも、ムリだけはしないでくださいね。」
「はい!じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい。」
ギルドを出て、街の西にあるグルの森に行く。
一応魔力温存のため、強化魔法は使わずに歩いていった。
魔法の特訓をしてから、初めての実戦だ。
グルの森での特訓中、何度もオークを目にしていたが、戦いは避けていた。
「ウィルオークを見つけてくれ。1体だけの奴でいい。」
「ウォン!」
森に入ってからはウィルの出番だ。
ウィルがオークを見つけてくれる。
俺も雷魔法で探知系の魔法も使えるようになってはいる。
微力の電気を流し、その電気に敵があたると俺も分かると言うものだ。
だが、その探知は敵の大きさまで分かるわけではない。
前は、その魔法で探知しそこに向かうと敵ではなくただの虫だったことがある。
正直探知にはあまり使えない。
使えるとしたら、寝ているときにその魔法を設置することぐらいだろうか。
そうすれば寝首を掻かれることはないだろう。
今はそれ以外に使い道が思い当たらない。
他にも探知系として、聴力を強化したり、視力を強化したりなどがある。
聴力は、それだけを強化してもあまり意味がない。
いろいろな声や音が聞こえバンクしてしまうのだ。
簡単に言えば聞き分けることができないのだ。
聖徳太子は10人又は7人の声を同時に聞き分けることができたと言う。
もし、これが事実なら他の人とは違う脳をしていたに違い。
俺も聴力を強化したならば頭――脳も強化しなければ意味がなかったのだ。
これを使えば、森の中でもオークを見つけることは簡単だ。
だが、これを使っても発見スピードはウィルと大差はなかった。
ウィルが臭いを知らない相手ならこの魔法は使えるだろう。
でも、今回のオーク探しなら、ウィルとあまり大差はないのでウィルに任せているのだ。
また、視力強化は、木々が生い茂る森の中では役にたたない。
視力強化は高原や街中での偵察などの場面で有効だろう。
――ウィルに付いていくとさっそくオーク1体を見つけた。
オークはまだこちらに気づいておらず、座り込んで休憩をしている。
最初は速さだけを強化する。
「加速!」
この魔力量だとスピードは時速60kmぐらいだろう。
オーク目掛け駆けると同時に時速60kmのスピードが出る。
そのスピードのまま、オークの心臓目掛け剣を突き刺した。
「ブギィ?」
突き刺す瞬間、オークはこちらに気づいたが時すでに遅く、剣は心臓を突き刺していた。
剣を抜くとそこから血が吹き出した。
「おーすごいな。簡単にオークの皮膚を貫けた。」
強化魔法無しで戦うと、オークの皮膚の硬さに少し苦戦する。
スピードは力だ。
力=質量×速度。
もし自動車に跳ねられるとしたら、スピードが出ている方が死ぬ可能性が高いのは当たり前だ。
なんにしろ、スピードが速ければ速いほど力もあがると言うものだ。
しかし、スピードを活かせる攻撃は突き以外にはない。
斬ろうとしても、そのスピードに腕力が追い付かず、振り遅れてしまうのだ。
だから、スピードを上げるだけの魔法では攻撃バリエーションが少ない。
雑魚相手なら、1体を突き刺し殺したあと、すぐに他の敵の後ろに回り込み殺しとそれを続ければ良いだけだろう。
ただし強者と戦う場合はそれだけでは勝てない。
また、これ以上スピードを上げた場合、他の部分も強化しないと、体がスピードに耐えられず、まともに突き刺すこともできない。
一部を強化するなら他の場所も一緒に強化しないと、力を100%引き出すことはできないのだ。
例えばスピードを上げた場合、腕力、皮膚――スピードによって掛かる体の負担から守るため、目――動体視力、などを強化しないと本来の力を発揮できない。
なら、最初から全部強化すればいいと思うかもしれないが、全部を強化した場合魔力消費が大きくなる。
戦闘は必ずしも短時間で終わる訳じゃないし。
場合によっては何時間も戦わないといけないこともある。
その時に、ずっと身体の全部を強化していたら、魔力が尽きるのも早くなる。
だから、魔力を節約するのは戦闘において重要だと俺は考えている。
――オークの死体を魔法のバックに入れる。
「よし、ウィル次行こう。次は複数体見つけてくれ。」
「ウォン!」
6分後、歩いている3体のオークを見つけた。
「身体強化フィジカルブースト」
次は、スピードの他に腕力、目、皮膚を強化する。
込めた魔力は時速120kmぐらいだ。
後ろから不意討ちで殺しても意味がないので、正面から堂々と行く。
「ブギィーーー!」
俺に気づいたオークたちは、俺目掛け走ってくる。
俺も一歩目を踏み出すと、オークの後ろをとる。
「ブギィ?」
オークはいきなり消えた俺に驚いている。
そのまま後ろから斬り殺し、オークが後ろにいる俺の存在に気づく前に3体とも殺した。
「簡単だったな。」
ほんの1週間前まで苦戦していたオークを簡単に殺すことが出来る。
その成長に自分自身嬉しかった。
オークの死体を魔法のバックに入れ次に行く。
「次は雷魔法だな。ウィル今度はお前も戦って貰うからな!」
「ウォンウォン!」
「よし、次は2体探してくれ。」
10分後2体のオークを見つけた。
「ウィルは右の奴をやってくれ。」
「ウォン。」
オークの正面から行く。
オークは俺達を見るや否や襲いかかってきた。
「サンダーショット」
指先から小さな電気の塊を左のオークに放つ。
「ブギィ?」
ゆっくりと進むその塊をオークは走るのをやめ不思議そうに眺めていた。
その塊がオークに当たると、雷にでも打たれたかのように倒れた。
さっきのサンダーショットは敢えてゆっくりとしたスピードで放った。
これは高圧の電気をギュッと固めたものだ。
一見弱そうに見える魔法だが、その威力は半端じゃない。
大抵の生物は死ぬだろう。
「ブギィーーーー!」
仲間を殺されたオークは怒り狂う。
もう1体はウィルに任せてある。
本当に危なくなったら助けにはいるつもりだ。
オークはこん棒をウィル目掛け振り下ろす。
それをウィルは容易く避け、こん棒を持っている方の腕に噛みつくも、皮膚が硬く対したダメージは与えられない。
オークは反対側の手でウィルを殴ろうとするも、ウィルはそれを見て腕を離す。
「ブギィ!ブギィ!ブギィーー!」
それからこん棒を振り回すも、ウィルには一向に当たらない。
そんな状況に段々と苛立ってきている。
遂に堪えきれなくなり、苛立ちを込めるように大きく振りかぶり、こん棒を振り下ろそうとしていた。
そんな大きな隙をウィルが見逃すハズもなく、振り下ろした瞬間に避け首筋を噛み切った。
「ギィーーーー!」
急所をやられたオークは狂ったように叫ぶ。
ウィルは止めを刺すかのようにもう一度首筋を噛みきった。
「……ウィル……強いな。」
俺が想像していたよりもウィルは強かった。
オークの攻撃を避けていたときも、敢えて避けているようだった。
むしろ楽しんでいるかのように見えた。
つまり、ウィルはいつでもオークを殺せた訳で、さっきの攻防はウィルに言わせれば遊んでいただけなのだろう。
子狼の頃から面倒見てたから、強いイメージは全くなかったのだが……
「ウォン!」
ウィルは尻尾を振りながら俺のもとまで来た。
「ほめてほめて」と言う声が聞こえてきそうだ。
その要望に答え、ウィルを撫でる。
「よしよし、よくやったな!」
「ウォンウォン!」
さて、これでウィルの力も見れたし、実戦練習も出来た。
だけど、まだ物足りないのでもうしばらく狩りを続けることにした。
その後、何体かオークを倒していると、15体ほどのオークの集落を見つけ、魔法とウィルの力で簡単に倒せた。
もう、この時点でオークは敵ではなくなっていた。
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