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 飛んで行く魔力の塊を見失わない様に後を追う。

まさやにはトーマがつけた透過機能がある。木や動物はもちろん、空を飛ぶ鳥すらもすり抜けて魔力の塊を追った。

 追いかけてきた魔力の塊は魔獣域との境の手前で土に吸い込まれた。後からきた魔力の塊も同様に同じ場所に吸い込まれていく。

土に吸い込まれていく魔力の塊をいくつか見送り、更に飛んできた魔力の塊と一緒に土の中に潜っていく。

土の奥、魔力の塊が吸い込まれていくその先に、四角い形をした手のひらサイズの箱の様な何かを見つけた。これに魔力の塊が吸い込まれている事を確信したまさやは、トーマへ連絡することにした。










「姉ちゃん、まさやから連絡きた。」


 トーマのスキルによって開かれている画面、トーマはスキル画面とよんでいるが、その画面は基本的にオープンにしたまま小さくしてトーマの視界の隅に入るように置いている。

まさやが動き回る為にはスキル画面の常時発動が必須となる。毎日膨れていく魔力のおかげか、スキルを開いたままにしていても全く支障はないのだが、スキル画面を通しながら生活するのは多少の不便が生じた。思考錯誤の末、視界の隅に小さくしたスキル画面を常時展開しておく事で、とりあえずは落ち着いた。

そのスキル画面の端が赤く点滅する。通知機能として設定されたそれは、現状、まさやからの通話の着信通知のみとしてしか活用されていない。

赤点滅に気付いたトーマは、通話も繋げながらリンにそう告げた。


「まさやから?大丈夫って?どうなったって?」


リンとトーマは今日の分の建物修復のノルマを終了し、モルディエラ領主邸へと戻っている所だった。

 最初は馬車で移動していた二人だが、案内の騎士達が二人より早く現地に向かって歩いて行っている事を知ってから以降、何だか申し訳なく感じた二人も騎士達と一緒に徒歩移動をする事にした。街は広いが、修繕が必要な建物のほとんどがモルディエラ領主邸からさほど離れてはおらず、むしろ領主邸の敷地内に入ってから邸に着くまでの方が時間を要する仕様になっている。

モルディエラ領主邸の敷地内を歩きながらまさやの話をしていた二人は、まさやからの連絡で足を止める。


「うん、ちょっと待って、」


トーマは矢継ぎ早に質問してくるリンに、片手で制止のジェスチャーを出した。もう片手でスキル画面をスワイプし、画面のサイズを少し大きくして通話機能を押した。


「もしもーし。まさや?

 ちょっと待って。

 えーっと、姉ちゃんにも聞こえるようにするには・・・」


トーマはぶつぶつ言いながらスキル画面をいじる。


「はい、いけたーーー!!

 姉ちゃんも会話に入れるはず。」


「会話に入れるって?」


「グループチャットみたいな感じ?

 側に居る騎士さん達にまさやの声は聞こえんけど、俺と姉ちゃんとまさやで話ができるようになったはず。

まさや~?」

「・・・うん?もう話して良いと?」

「うん。さっきの魔力の塊、どうやった?」

「魔力の塊やけど、最終的には土の下の方に埋まっとう四角い箱みたいなやつに吸い込まれよった。いくつも吸い込まれていったけん、間違いないと思う。

 透過機能を使わんと四角い箱の所まで行けんし、透過機能を使っとう使っとう_(使っている)最中は物が、っていうか、何にも触れんし、持てん。

 四角い箱がある事まではわかったけど、それ以上はどうにもならん。」


 緑のもふもふまさやの姿に合ったのんびりした口調の声が聞こえてくる。

スキル画面の向こうから聞こえてくるかと思っていたリンは、イヤホンを着けている様な直接耳に響く聞こえ方に、一瞬ビクッとしてしまう。

何より、人見知りまさやの声をまともに聞いたのはこれが始めてだった。

二重の驚きにじわりとテンションが上がる。


「あ~、透過機能。そういう不都合もあ」

「ぬおっ!まさや?まさやってそんなかわいい声しとうと声しとうと(声してるの)?まじ?何かしゃべって!!てか、なんでまさやも方言?トーマから生まれたけん?マジか!」


本題から完全に脱線した内容と、テンションの上がったリンの声が二人の会話に割り込んだ。


「・・・姉ちゃん?話聞いとった?てか、怯えてまさやが黙ってしまったやん。」
















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