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それぞれで固有魔法の練習


「トーマ~、そろそろ夕御飯って~って、えっ?何、それ?」

 

「ん?めし?もう、そんな時間?・・・って、姉ちゃんこそ、何、それ?ハリセン!?」


 少し距離をとり、それぞれに固有魔法の練習を始めて数時間後、リンはマリアから夕食の時間だと声をかけられた。

トーマにも伝えようと、側に行って声をかけたのだが、リンはトーマの、トーマはリンの、お互いの手に釘付けになった。

トーマが口にした様に、リンの両手にはハリセンが握られている。側面に「音のみ」と書いてある白いハリセンを右手に、側面に黒地に赤で「危」と書いてある全体が赤と黒のストライプという、いかにも危機感漂うハリセンを左手に握っていた。

対してトーマの両手には、まりもやまっくろ○ろすけを彷彿とさせる緑色のふわふわとした何かが乗っていた。


「私のは見たまんま、ハリセン。

トーマの方こそ、何よ、それ?」


「これ?まり○っこっっっ!!!」


「言わせるかあ!!!」


トーマが全て言い切る前に、ハリセンの小気味良い音と共にリンの突っ込みの言葉が響いた。


「・・・すんませんっした。」



リンの顔面から圧が飛ぶ。トーマはリンの斜め後ろに立っていたマリアさんに気付いて、ごまかし笑いをしながら小さく頭を下げて謝った。ハリセンで叩かれた頭を片手でなでつつ、もう片方の自分の手元に視線を落とすと自分の手に持ったそれをリンの視線に合わせて少し持ち上げる。


「まさや君です。」


「って、誰だよ!ってか、生き物!?」


「・・・生きてる、と思う。ゲームの最初にキャラクターの作成があるやつ、あるやん?それを想像しながら進んだ結果、まさや君が生まれ?ました?

ちなみに、会話、意志疎通も可能です・・・?」


話している本人(トーマ)もよくわかっていないらしい。当然、聞いている方は更にわからない。頭の上に?が付いていて、お互いに首を傾げている。


「まさや君、俺の姉、です。挨拶出来る?」


トーマが両手に抱えた“まさや”に声をかけると、小さくぷるぷると小刻みに動いた。


「・・・バイブ機能搭載です」


トーマのセリフにリンが再度ハリセンを構えた。


「いや、ちが、あれ?さっきは話したっちゃけど?!えっ?まさや君?まさやさん?まさやぁぁぁ?」


まさやが又小さくふるえた。まるで恥じらっている様に見える。


「えっ?人見知り?人見知りなの?まさや君?!・・・マジか・・・。

・・・姉ちゃんの顔が恐くて話せんって」


「いや、そんな事言ってないよね?ってか、トーマに似たけん、人見知りになったんやないと?」


「いや、人見知りは否定せんけど、こんな明らかに人見知りはせんよ、俺。」


二人のやり取りを続いてる横でまさやはそっとトーマの袖の中に隠れていった。




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