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足元に広がるビスケット。リンの中で、ビスケットもクッキーも区別されていないらしく、チョコチップやジャム、ナッツやドライフルーツの入ったクッキーが混じっている。
「姉ちゃん、クッキーも混じっとらん?」
トーマはしゃがみながら、顔のサイズ程もあるクッキーを1つ手にとると、そのまま噛った。
「あっ!・・・・・・・・」
リンが何かを言いかけて手を伸ばしたが、既にクッキーをかじったトーマを見て止まる。
リンには周りにあるビスケットやクッキーに小さく「クッキー(仮) 残23:38」という文字と数字がついているのが見えていた。もちろん、トーマが食べているクッキーにもついているのだがトーマの様子をみるに、その文字にトーマは気付いているとは思えない。
(私にしか見えてない?さっき食べたビスケットはすぐに文字が消えたけど、トーマのかじったのには数字がついたまま?)
「ん?」
トーマがクッキーをもぐもぐとしながら首を傾げた。
「・・・いや、なんでもない・・・おいしい?」
「ん?旨いよ。ジャムが上にのっとるクッキーが、俺のベスト!!」
トーマが親指を立てながら口の端を上げ、キラリとした笑顔を作る。もちろん、突っ込み待ちだ。
リンは追い払う様にハイハイと手を振りながらスキル欄を頭に浮かべた。
(さっきは一緒に食べようっていったら数字が消えた。
スキルにあった、意味を持たせたらっていうのに該当したって事?)
「そのクッキーはトーマにあげる。」
リンがそう口にすると、トーマの持っていたクッキーの(仮)と数字が消える。
「他のクッキーも皆で食べよう。」
自分の周りにあるクッキーを見渡しながらリンがそう言うと、他のクッキーやビスケットからも(仮)と数字が消えた。
(ざっくりした指定でも、名前が違っても(仮)と数字が消えた。
私の認識があれば良いって事?
よくわからん。色々試すしかないかな。)
「とりあえず、ロンさんとマリアさんから何か入れ物もらってくる。
草の上やし、入れ物に入れてからクリーンをかけんといかんやろ?」
トーマはそういうと、クッキーを食べながらロン達を呼びに行った。
しばらくしてロンとマリアが持ってきてくれた大きな厚手のテーブルクロスの様な布にビスケットを移して、クリーンをかける。ロンとマリアにお願いして、大量のビスケットを騎士団へと運んでもらった。