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02

   凜目線


つまり、どうゆうことかなぁぁぁ

めちゃくちゃイケメンな執事さん?の、現状に至るまでの説明は、かれこれ何回目かになっている。

1回目は執事?さんがやたらとすみませんを言ってた気がする。

自分たちが置かれた状況がわからないのに、執事?さんの話なんかまったく頭に入ってくるわけなくて、当然返事なんかしていないと思う。

2回目、3回目辺りで現実か?と思い始めた。

左手はつねりすぎて真っ赤になってじんじん痛い。

隣をみたら杜真も同じ・・・いや、私よりひどい。ほっぺたまで真っ赤だ。

そんな杜真をみていたら、ぼんやりしていた頭がはっきりしてきて・・・話がようやく頭に届き始めた気が・・・するかも?


「つまり、

 夢、じゃなく現実。

 元いた場所とはまったく違う世界?空間?にいる。

 元いた場所には帰れない。

 という事ですか?」


とりあえず、一番大事な事だけ確認しよう。うん。

執事?さんがすまなさそうな顔してるけど、どうでもいい!

とにかく、おうちに帰らんと。

多少、不満はあっても基本的には平和で楽しい毎日で、こんな訳分からん事に巻き込まれるとか、ありえんし。

これが、本当に現実なら、家に帰してもらおう。


執事?さんが額をハンカチでふいとるけど、汗出とらんのに、そのハンカチ意味ある?とか思えるくらいには頭が動いてきたし。よし。


しばらくは私と執事?さんの

「帰りたい。」

「申し訳ありません。」

「帰らせて。」

「出来なくなってしまいました。」

「夢ですよね?」

「夢ではありません。」

みたいな掛け合いが続いてるけど、進展なし!

なんでよ!こんなん、誘拐やん。帰りたい!これからどうなると?怖いし、意味分からんし、なんか、腹立ってきたし。

イライラとした口調のまま執事?さんと進展しない掛け合いが続くだけ。


「・・・はぁ、・・・姉ちゃん、あきらめよう。そんだけ言い合いして無理なら、無理っちゃないと?」

何も言わずに黙って私達のやり取りを見ていた杜真が、横から口を挟んできた。

杜真?なん言いようと?と若干イラつきながら、思わず睨み付けてしまう。

が、睨み付けた杜真の顔はあきらめというか、投げやりというか、・・・ダメなやつだ。ダメな顔してる。

杜真は昔からあきらめるのが早くて切り替えが早い。

とりあえず、で気持ちは横に置いといて、現実のみを受け入れる事ができる。

けど、後々までぐだぐだ言う時の面倒くさくなる時の顔だ。

よく、弟に大事なゲームのデータを消されていた時にしてた顔。

杜真を睨み付けたまま口を開く。

「・・・皆に会えんくなるとよ?・・ひろもお母さんもお父さんも!」

自然と声が張り上がる。

うー、泣く、泣きそうやし。目が熱い。

歯をくいしばって下を向く。だって。

「だいたい、急におらんくなったら皆心配するよ。多分。絶対。」

言いながら、自分が泣きそうやし。声も掠れとるし。

まだ泣いてはおらんけど。

ひざに掛かった毛布が視界に入る。握りしめ過ぎてしわしわだ。


「先ほどもご説明致しましたが、あちらの世界については今までどおりと思われます。お二人共、今までどおり生活されております。」

はっ!?

えっ?

なんて?

「・・・はっ?」

執事?さんの意味不明な言葉に思わず顔をあげて、執事?さんを見た。

なんか、意味解らなさすぎて涙が引っ込んだ。

あと、私さっきからはっ?とかはぁ?とかしか言ってなくない?

「いるって?どういう事ですか?」

2人おるって?何が?えっ?偽物的な?えっ?どっちが?

隣で、杜真からも似たような言葉が聞こえる。

私たちの様子に執事?さんが苦笑いを浮かべた後、安堵した顔をした。

説明を始めて何回目の同じセリフかは分からないけど、ようやく私達と話ができそうと思った?話しは出来ませんよ。家に返して!


「本来こちらに来て頂くのはお一人の予定でした。

何日かこちらを見聞して頂いてあちらにもどり、あちらで一生を終えた後、記憶を持ったままこちらに転生して頂けないかお訊ねする。了承していただけたら、こちらでの転生後に必要そうな知識等を、より多くあちらで修得して頂ける様に、いくつかのギフトをお渡してあちらへ戻って頂く予定でした。


こちらとあちらにつないだ穴は一人しか通過できない穴です。ですが、穴が開いた際、お二人が同時に穴に足を踏み込んでしまった。

穴は、おおよそ一人分が通過した時点で塞がり、お二人があちらとこちらに二分される、という予定外の事態がおこりました。

過去に同様の事例はございません。そもそも、世界を渡る事があまりございません。あまりないというだけで全く無い訳でもございませんが。

しかしながら、1人の人が、あちらとこちらに分断されるなどといった事例は初めてです。

この不測の事態を受け、あちらとこちらの創造神が早々に対応されました。

お二人の欠けた部分を補充する、という形で。

結果、あちらとこちらにお二人は存在する事となりました。」

・・・?いやいや、シーンじゃないから、えっ?ここにくる前、記憶の最後の何かがちぎれる音って自分の身体がちぎれた時の音?・・・・・・・・・・・えっ?うそやろ!?

思わず、膝から下に掛かっていた布団を放り投げて、自分の身体を触る。

身体、ある。

杜真、身体、ある。よし、ある、よし。って、片言になったよ。

「ですので、当初の予定の、こちらを見聞して頂いて、あちらに戻って頂く、という事が出来なくなってしまいました。

何分初めてのケースで、お二人にあちらに戻って頂いた場合にどうなるのか、予測がつきません。

又、お二人は創造神が自ら足りていない部分の補強をされておりますので、通常の「人」という概念からは外れてしまっていると予測されます。」

えええぇぇぇぇぇ???

マジ???

「・・・人のがいねん?人枠外?人じゃないってこと?・・・ですか?」

さっきからずっと黙って聞いていた杜真が、中々にがっつりはっきりと言いにくい事を口にした。・・・少しはオブラートに包もうか・・・人枠外・・・とか・・・。

言った本人も相当な困惑顔だけど。

「人に変わりはありません。ただ、生命力や体力、魔力等が、一般的な方々よりもはるかに優れてしまうのでは?という、創造神の見解です。

日常の生活等に不便を生じる事はないかと。只、世界を壊さない様に留意して頂きたいとの事です。

又、本来の目的である、停滞している世界の進化と成長。できれば、この世界の現状を憂い、熱心に祈り、もがいてきた者達の手助けをして欲しい。それは世界の進化と成長にもつながる。との言葉を伝える様にと申し使っております。」

「・・・世界を壊す?」

壊すとは?なんですか?私達は危険物指定ですか?危険物取扱の資格は持ってるけど、自分が取り扱われる方かよ!?いや、まて、危険物取扱の資格とか、そうじゃない。落ち着け私。

「・・・チート・・・」

ぽつりと杜真が呟いた。ん?何か、声が弾んでませんか?んんん?杜真さぁんんんんん?

「もう少し、説明をさせて頂きたかったのですが、そろそろ移動の時間の様です。創造神より・・・す?スキル等については、そちらのげえ?ゲームに合わせた使用方法となっております。又、剣と魔法のふぁんたじい仕様となっております。」

えっ?何で途中から棒読み?絶対分かってなくて言っとうやん。何、その、言わされてる感!!ちょっ!どゆ事?

「以上が、必ず伝える様にと申し使った内容でございます。今より、先ほどお話した、手助けをしていただきたい人物の元へとお送り致します。後はよろしくお願いいたします。」

執事さんが、そういうのと同時におしりの下から光の粒が広がっていく。えええぇぇぇぇぇ!?まじか!?まじ!?えっ!ちょっ!

「えええぇぇぇぇぇ!!!!!!!ちょっ!まっ!」

待って!執事!他にやることあるやん!?頭下げる以外に!!!ちょっとおおおぉぉぉぉ!!!!



















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