~はじまり2~
「やーーーっと、夏休暇だぁぁぁ!!」
夏休暇は8月の1日から9月10日までの40日間。
1か月30日と決まっており、1月から12月までの360日。
季節は3か月交代。
4、5、6が春。7、8、9が夏。10、11、12が秋。1、2、3が冬。
夏休み後、新学期となり学年があがる。
「さぁて、何しようかなー?テト、何がしたい?」
「シン兄ちゃんと冒険がしたいです!」――テトは二人の時はシン兄ちゃん呼びだ。
「冒険・・・か。」
鍛錬にはもってこいだな、でも・・・
「冒険!?何を言っとるんだお前らは!!」
やっぱり、無理だよなぁ~って諦めないけどね。
「父上、お願い致します。あまり危険なエリアまでは行きませんので!」
「お前の危険を信用できる訳なかろう!!」
「ちぇっ、ばれてたか。」
「シンカー、お前どこに行こうとしていた?牙狼の深淵とかではないだろうな?」
「い、いやぁ?ち、ちがうけどぉ?」
「シン兄ちゃん、完全にばれてますよ。」
牙狼の深淵とは・・・牙狼の森の最深部であり、牙狼の最上位魔物フェンリル――全員が上位種であり光と闇、無属性どれかを必ず有する強敵。群れで襲ってくる。が時々出没するところだ。
「あああもうっ!じゃあ、庭で戦闘訓練でもするよっ! テトっ、おいで。」
「はい、では失礼します。お父上。」
「おう。シンカー、テト、ほどほどにしろよ?あと、庭壊すなよ?」
一度やりすぎて庭をめちゃくちゃにしたことがあり、めちゃめちゃ怒られた。主に母さんから。
「「はあーーーい」」
僕とテトは一旦、自分たちの部屋に戻り――僕とテトは同じ部屋だけど。練習の用意を始めた。
「シン兄ちゃん?(無)空間魔法を使って何してるんですかぁ?」
「聞かなくても分かってるんだろ?・・・深淵に行く準備だよ。テトの分も入れてあげるから用意しなね」
「いっても・・・大丈夫なのでしょうか?」
「だいじょぶだって!」
テトは頭をなでると照れる。それがまた可愛い。
「じゃあ、準備できたし戦闘訓練しに庭に行きますか!」
「りょーかいっ!シン兄ちゃん」
なんだか、嬉しそうに敬礼ポーズしている
庭につくと先客がいた。アレックスだ。
「よぉ、アレックス、なぁにしてんの?」
「腕試しがしたくてな。」
準備運動にはちょうどいいな。
「うん、いいよ。まずは僕からっ!」
言うが早いか土魔法で剣を作りアレックスに突進切りしたが・・・
昔とは違いいい動きだ。僕の剣を受け止め、すぐさま反撃にでてきた。ガードした後バックステップで距離をとった。
「いい動きだね。次はこれだよ?(火)火球、(水)水球、(自然)蔓乱舞!」
「はぁ!?別属性魔法の並列発動かよ!頭ん中どうなってんだ?うおっ!くっ!はっ!」
魔法を放ちつつ距離を詰める。アレックスは魔法をよけながらこっちも警戒している。
「(無)身体強化、はぁぁぁ!!」
アレックスが身体強化で距離を詰めつつ僕の顔へ一撃がとんでくる。
すんでのところで避けたぼくは空いている胴へおみまいしようとするが、避けられる。
―――近接でも引けを取らなくなったか。じゃあ・・・
「(無)身体強化、いくよアレックスっ!」
「こいっ、受け切ってやるよ!」
そこからは斬撃戦になり、アレックスが膝をつき倒れた。
「僕の勝ちだねっ」
「はぁはぁ、あぁ、強いな、はぁ、息切れしないなんてな、はぁはぁ」
「まだまだ、負けるわけにはいかないね」
はっきりいって強い。冒険者ならBランクくらいはあるだろう。
「それじゃあ、テト、行くよ?」
「はい!よろしくです!」
テトとの対戦は魔法の応戦。両者とも攻撃魔法を打っては魔法を避け、(無)短転移を使いながら、魔法を打つの繰り返しだ。しかたない、魔力の尽きる前に終わらせよう。
「(雷・風)疾風迅雷!」――風の速さで動くことができ、雷で相手を攻撃できる技。
「なんだあれ・・・格が違い過ぎる。あんな奴と試合してたのか。」
テトの転移先へ詰め寄り雷で攻撃、
「チェックメイトだよテト」
いきなり詰めてきた僕にびっくりしたのかテトは魔法の使用がおくれ、僕の攻撃を・・・
「そこまで!!!!!!!シン!庭を壊すなといっただろ!!!」
「げっ!!まずい。ごめんなさいー。テト、立てる?」
「はい・・・大丈夫です・・・」
「さぁ、叱られないうちにシャワー浴びにいこう。アレックス今日はここまでまたね」
「おうよ、ありがとな」
ぼくらは急いでその場を離れる。後ろでなにか言ってるが・・・
――――――風呂場にて
「テトはほぼ完ぺきだった。だからああしないといけなくなったんだよ。」
「むぅ、さっきのはなんですか?はじめてみましたよ?」
「雷と風のごうせい魔法だよ、初めて戦闘で使ったけどうまくいってよかった」
「にゃるほどぉー。シン兄ちゃん!頭洗ってくだしゃいー!」
赤面しながらそう言われちゃ断れないよね・・・
「よし、兄ちゃんに任せろ!」――この後色んなことを話し、風呂を出て、牙狼の深淵へと向かった。
僕らが再び戻ってきたのは僕の誕生日である8月28日だった。