エピロード
エピローグ
「うわぁぁぁ~~~~ん………あいすがぁぁぁ~~~……」
「ちっ、早く変われってんだよ!いつまで赤だ!」
「嘘、私よりあいつのほうがいいって言うの??あいつの何がいいってんのよ!」
前では40ぐらいのおっさ……サラリーマンが変わらない信号に毒づき、右では幼女がアイスを落として泣いて、お母さんがまぁまぁとか言っている。一個飛ばして後ろにいくと、そこでは女学生がけーたいを見て驚愕の顔をしていた。おもしろいかお。
なんて言ってられない俺こと、神こと、羽真照弥志である。弥志が名前である。なに?さりげなく神とかいうな?
違うね。俺は正真正銘神である。おいそこ、憐れみのこもった眼で俺を見るな。
ー俺は、幸福の神である。
つまりは人に幸福を与える。素晴らしい。とかおもうだろ。
違うね。ぜんっぜん違うね。
まぁ、いうより見る方が早いだろう。みてろ。
「あいすがぁぁ~~~」
「分かったわよ、もう一つ買ってあげる。あ、ほら、青になったわよ」
「やっと青になったか。これで会議に何とか間に合いそうだな」
「あ、何だ、デマか。良かったわ~」
お分かりいただけただろうか。そして、そろそろ来る。
「おい、どけっつってんだゴラァ!」
「まず邪魔って言ってないでしょう」
「おお、いわれてみれば!すまんな」
お分かりいただけただろうか。(誰かに)幸福を与えればその次には(俺にだけ)不幸が来る。何これ、罰ゲーム?
とでもいいたいが、誰に言えばいいんでしょう?あ、一応言っとっけど、突然この能力に目覚めたーとか、誰かに『今日からお前も神様マスターだ』とか言われたわけじゃないですからね?
要は生まれた瞬間から神です。イエイ!イエイじゃねぇよ。
親なし、中学卒業同時に俺の面倒を見ていたじいさんが逝去。よって、1人暮らし。
寂びしそうとか言われんだが、俺からしちゃパラダイスだね。それでいて、つまらんくも無い。ニホンゴ、オカシイネー。
信号も渡り終えた。俺が今どこに向かっているかというと、自宅である。コンビニ帰りである。
と、俺が近道の路地裏に入ったのがいけなかったんだろう。
「探しましたよ、羽真手さん。いや――――」
その不意打ちで現れた女性は、俺しか知らない本当の名前を言ってきた。
「七福神の一人、福禄寿様」