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73.邪神集会

 そのままいくのかと思ったが、制服のままではダメ。

 きちんと待ち合わせをしようということで、いったん別れた。


 待ち合わせる必要あるのか? という俺の質問は女性陣に大顰蹙(ひんしゅく)を買う。

 曰く、基本だろだの、乙女心がわかってないだの。

 1時間後にローダンのはずれのほうで待ち合わせる約束をした。


 俺は暗黒神殿に戻り、着替えようとする。


 服は以前、俺が外で活動するようになるとき色々と買い込んだ。

 だから選び放題なんだが。

 うーん。


「いかがなさいました?」


 俺が着る服を迷うのは珍しい。

 それに違和感を覚えたアドリゴリが聞いてくる。


「たいしたことじゃない。ユーフィリアと二人でダブラムに遊びに行くだけだ」


 俺の言葉にアドリゴリが凍りつく。


「そ、それはまさか……」


 アドリゴリはうろたえる。


「で、伝説の『でぇと』というものではないですかっ」

「伝説か?」

「こうしてはいられません」


 アドリゴリは慌てて走り出した。






 そして今こうなってます。

 緊急邪神会議である。

 いや、軍団長以外にも多数の者が玉座の間に集まっていて、もはや集会である。


「いきなり呼び戻されたので何事かと」


 爺やも学園から戻ってきている。

 こんなくだらない議題で呆れているのかもしれない。


「1000年で最大の議題ですぞ」


 アドリゴリ自身はいたって真剣である。


「そんな大事(おおごと)だったか」

「はい。こういったのは初回が肝心。まずは服装ですね」


 この雰囲気に飲まれて、俺は少し緊張し始めていた。

 デートに来ていく服といわれると、なかなか決めかねるな。


「こ、この服とこの服どっちがいいと思う?」


 俺は2つに絞ってアドリゴリに聞く。


「どちらもお似合いですよ」

「ふん。そんな回答では失格だな」


 アドリゴリの答えを聞いたジェコが口を挟む。


「なんだと?」


 アドリゴリがジェコを睨む。


「どっちでもいい、という答えは絶対にしてはいけない。自分に興味ないんだなと思われてしまう」


 ジェコにそう言われ、アドリゴリはショックを受ける。


「た、確かにデートマニュアルにそう書かれていた。それを忘れるとは不覚」

「よくそんなことを知っていたな」


 俺は物珍しげにジェコを見る。


「エウリアス様がそういったことを書いたメモ用紙がここに」


 ジェコが俺に紙を差し出した。


「ほうほう。さすが爺や。で、どっちの服がいいと思う?」

「アシュタール様ならば何でも似合います」

「さっきと似たような答えじゃねえか」


 こいつらじゃ役に立たない。


 結局普通にジーンズと黒いシャツになった。

 変装用サングラスもかける。


 俺も今はそこそこ有名。

 ユーフィリアも他国のお姫様だからな。

 目立つわけにもいかない。


「しかし何でこんな大騒ぎになった」


 俺は周りを見渡す。

 皆真剣に話し合いをしていた。


「いざというときに備え、第八軍団第一小隊はダブラム中央付近にて待機。万が一の場合はその地を制圧せよ」


 第八軍団長モルゴンの指示を受け、第一小隊が敬礼をする。


「はいそこ、却下。解散ね」


 俺は小隊に解散の指示を出す。


「なぜですっ?」


 モルゴンが抗議する。


「だいたい、邪神族の部隊を配置するほどの不測の事態ってなんだよ」

「大怪獣に街を襲われるとかでしょうな。ひらめいたっ」


 モルゴンはいきなり手をパァンと叩く。


「大怪獣イビルドラゴンに街が襲われ、それを我らがヒーローアシュタール様が倒すとかはどうですかな。好感度アップ間違いなしです」

「却下だ。ちなみにお前に対する好感度は今どんどん下がっているぞ」


 まあモルゴンは小言が多いから、元から好感度は低いんだが。


「なぜにっ」

「そもそもついてくんな。気が散る」


 俺は第八軍団を追っ払った。


「1000年で最大の事件でありますれば。皆気合が入っているのです」


 アドリゴリ自身も気合が入った表情であった。


「100歩譲って1000年で最大のイベントだとしてもだな。お前らが張り切っても仕方ないだろ」

「万全のサポート体制を築く必要があります。ミスは許されません。1度目に失敗すると2度目の機会は永遠に訪れないものです」


 それはあまり仲良くない人を誘った場合の話。

 今回の場合、多少失敗しても何とかなるとは思うけどな。


 そんな会話をしている間も、中央のほうでは真剣な話し合いがなされていた。


「残り時間は30分。完璧なデートプランを考えろ」


 ガレスの指示を受け、部下たちはダブラムの地図を広げ、話し合う。


「ダブラムの街は海に面している。やはり海に行くのははずせません。理想を言えば水着イベントがほしい」


 それはあちら次第だからこちらでは決めれないけどね。


「おいしいスィーツの店をピックアップしておけ。女子の好感度アップ間違いなしだ」

「はっ」

「夕食はダブラムプリンスホテルのレストラン。夜景を見ながらのディナー。そしてそのまま泊まる」


 泊まらねーよ。


「一つ確認しておこう。お前らの中でデート経験者はどのくらいいるんだ?」


 俺は1000年暗黒神殿から出ることはできなかった。

 しかし部下たちはそうではない。

 長い期間外で工作に従事した者もいる。


 その間にデートを経験をした者もいるだろう。

 そいつの意見だけ聞けばいい。


 俺の問いに皆が顔を見合わせる。

 あからさまに動揺する者。視線が泳ぐ者。汗を滝のように流す者。


 こいつらまさか……。


「デート経験者だけが残れ。他は解散だ」


 俺の命令すると、皆がトボトボと去っていくのだった。


 残ったのは爺やだけである。

 だめじゃねえかこいつら。


「なんという使えない奴ら。これが机上の空論というものか」

「アシュタール様の影響ですけどね」

「爺やは経験者なのか」

「たいしたことではございませんが。先日もセリーナ殿とランチを」

「なるほど。爆発しろ」


 俺の言葉にも爺やは動じることはない。


「それより、時間があまりありません。そろそろ向うべきかと」

「ああ。時間に遅れるわけにはいかないな」


 準備を終えた俺は待ち合わせ場所に転移したのであった。

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