表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/146

63.クリスタルタワー攻略①

 その巨大な塔は通路も、配置してある像も何もかもが巨大であった。


 俺は先頭でズカズカと歩いていく。


「あっ」


 アドリゴリの声が漏れる。


「ん?」


 俺は振り返る。


「どわっ」


 俺は横にあった巨大な像のチョップ攻撃をうける。


「まあ下手すると死ぬ罠ですが、アシュタール様なら平気でしょう」


 爺やがなんでもないという風に述べる。

 まあ実際万能結界(サンクチュアリ)があるからダメージはない。


 最初に行くと罠発見役になるんだったな。

 まあ別にいいか。

 

 気にせず進んでいくと、遠くに数十体の魔物が見えてくる。

 いや魔物じゃない。


 ロボットといったほうが正しい。


「あれが古代帝国の兵。機甲種といわれているものです」


 爺やが解説をする。

 2足歩行で腕がガトリングガン状になっている機甲種。

 ガトリングガンは4砲門。

 

 下半身がキャタピラー。上半身が人型のロボットもいる。

 肩には2つの砲身がある。


「ほうほう」

「もっとも、まだ1層ですから。これらは雑魚ですがね」


 とりあえずやってみるか。

 ある程度近づくと、ビーっという警報音がして、機甲種は俺に襲い掛かってくる。


 ガガガガガッ


 腕のガトリングガンが回転し、俺目掛けて魔弾がとんでくる。

 赤、青、黄、緑の4色。

 それぞれ、火、水、土、風に対応しているのだろう。


 ドンドンッ


 タンク型の機甲種から白と黒の魔弾。

 光、闇属性の攻撃であった。


「なるほど、全属性攻撃をしてくるのか」


 俺はその分析をしながら魔弾を受け止める。

 正確には結界ではじいているのだが。


 1体を殴ってみる。

 あっさりと壊れる。


火球(ファイアーボール)


 俺が魔法を唱えると、直径数メートルの火の玉がいくつも出来上がる。

 それをすべて機甲種に放っていく。

 

 直撃していない機甲種も爆風で皆壊れた。


「お見事です」


 アドリゴリが真顔で拍手している。


「む。この建物の床は壊れないのだな」


 今の魔法で傷一つつかない床。

 俺はそれに驚いていた。


「この建物はおそろしいほど頑丈です。無論アシュタール様が全力を出せば壊せるかもしれませんが、この塔ごと壊されても困りますので」

「わかっている。そんなことはしない」


 俺はアドリゴリに軽く手を振って答える。


 壊れた機甲種の残骸は、吸い寄せらせるように端に移動していく。

 そして端の床がパカッと開き、残骸を回収していった。


 爺やはそれを指差す。


「クリスタルタワーは、このように何もかも自動で動いているようです。何千年もの間。エネルギーも自給できるのでしょう」

「主人である古代人は滅びたのに、律儀なことだな」


 回収した残骸を再加工して、また機甲種を作っているらしい。

 しばらくすると再配置される。 


 そんな説明を受けつつ、俺は先へ進む。

 一番奥はエレベーターのようなものがあった。

 俺たちはそれに乗って上層に移動した。


「しかし雑魚だな」


 俺の率直な感想にアドリゴリが反応する。


「まだ1層ですので。もっとも自分が知っている15層までに、アシュタール様どころか我々を脅かすほどの敵はいませんが」

「いや、機甲種の攻撃は結構痛いはずですけどね。弱点属性が絶対含まれますし」


 セリーナは人外の会話にやや引き気味である。


「俺達に弱点属性はない」


 邪神族は邪属性。

 いわゆる火水土風の四属性でもない。

 光でも闇でもない。

 7つ目の属性。


 邪属性は弱点属性なし、得意属性なしというフラットな属性である。


「1層は小手調べのようなもの2層以降は様々なギミックがでてきます」

「それは楽しみだ」


 俺はゲームを開始する前のようにワクワクしていた。






 2層。

 正六面体のパネルが敷き詰められている大部屋。


「ダメージ床です! ランダムで毒、炎、雷などによるダメージがきます。それをうまく避けながら戦う必要があります」


 セリーナと爺やは戦闘には加わらず、遠くから助言をしていた。


「へー」

「ほー」

「そうなんだー」


 パネルに乗っている3名。

 アドリゴリ、ジェコ、そして俺がそんな感想を述べる。


 邪神族は毒など効かない。

 多少のダメージなど即再生する。


 ああ、その前にこれも結界ではじいてたわ。

 ダメージ0の床である。

 敵の機甲種は空に浮かぶ戦闘機、ヘリコプター状の敵であった。

 ペシペシと撃ち落していたら終わった。






 3層。


「ボスのHPが半分を切ると、次々と機甲種を呼ぶようになります。その雑魚を先に処理してもいいのですが、数がどんどん増えますので処理が大変になります。雑魚を誰かに任せてボスを攻撃するか、雑魚を掃除するか。戦術が問われます」

「あ、ごめん。殴ったらボス即死したわ」

「……」


 セリーナは呆れて開いた口が塞がらなかったようだ。

 ギミック不発である。


 4層。


 2体の大きめの人型の機甲種がいた。

 左は剣を、右は盾を持っていた。


「当然左は攻撃力が高く、右は防御力が高いです。常識で考えれば左のほうが簡単に倒せます。しかし左から攻撃して倒すと、右が自爆します。その威力は右の残存HPに依存し、フルの状態で倒すと恐ろしい威力になります。死ねます」

「なるほど」


 俺は頷き、左をぶっ飛ばした。


 ブッブー。という不正解を連想させる音がなり、右の機甲種が光に包まれた。


ドゴォーーーーーーン。


 大爆発が起こる。


「ゲホッ。いきなりは止めてください!」


 アドリゴリの抗議を無視する。


「ええ。我々は平気ですけど、セリーナ殿がいますからね」

「あっ」


 ジェコに指摘されてそのことに思い至る。

 慌ててそちらをみると、セリーナは爺やにかばわれ無傷であった。


「申し訳ない」


 俺は謝罪するが、セリーナは俺など見ていなかった。


「いえ、エウリアス様のおかげで無事ですので」


 セリーナはそのまま爺やに抱きついていた。


「ご無事で何よりです」

「いえ、ありがとうございますエウリアス様。あの……もう少しこのままでいてもよろしいですか?」


 なんか二人の世界が出来上がってしまったので、俺はそそくさと先を急いだ。

 俺のせいだから文句も言えない。






 5層。


 1体の巨大な亀のような機甲種が待ち構えていた。


「本体は超強力な殻で守られていて、実質無敵。奴に攻撃を開始すると、小亀が数体現れます。それを弱らせて捕まえます。本体の近くにもっていくと、本体が頭を出すのでそれを攻撃します」


 セリーナは解説をするが、どこか投げやりであった。


「よしきた」


 俺は本体に向かって特攻。

 そしてボスを殴る。


「む、硬いな」


 俺攻撃にびくともしない。


「ああ、やっとギミックが役に立った」


 なぜかセリーナが安堵している。


「ならば!」


 俺は自分がしている邪気を抑える指輪をはずした。


「はああああ!」


 邪気を込めて殴る。


 バリン! という音がして甲殻が割れた。


「ほあたたたたたた」


 そのまま殴り続け、本体を破壊した。


「もうヤダこの人たち」


 セリーナがため息をついた。


「好き放題暴れているのはアシュタール様一人なんですが」


 アドリゴリが冷静にツッコんだ。


 そして俺たちは先へと進むのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ