少女は思う
「リリィ。早くこれ着替えさせて」
「はい!かしこまりました!」
今日は食事のマナーレッスンが中心だった。
私はだいぶ形になってきたと思うがマリアマはそう思わないらしい。
食事という短い時間の中で結構な回数を怒られている。
今日は夕食時にもマリアマの授業が待っている。
そのかわりほかの授業はしないらしい。
マリアマはこうやって私の負担になりすぎないように授業を計画してくれている。
ダンスや礼儀作法を私が苦手としているのを知っているからそれがある時はそれ1つに絞ってくれる。
そのため私は空いた時間に脳内でだが復習ができる。
スパルタだけどとても良い先生だと思う。
「花嫁様、出来ました!」
「ありがとう」
お礼を言うとリリィはとても嬉しそうに笑う。
リリィが選んでくれたのは締め付けのないゆったりとしたワンピース。
長さもくるぶしより少し短く私が歩きやすいように考えてくれている。
本当ならお城で過ごしているのだから常日頃から先程まで着ていたようなドレスでなければ駄目なのだろう。
でもリリィは私が着替えさせてと言うとこういった緩い造りの物を選んでくれる。
私もそれに異論はないし、この部屋にはマリアマ以外訪れる人はいない。
マリアマが訪れる時間は事前からわかっているのでそれに合わせて着替えればいい。
それに私はこの部屋から出ないのでこのままでも全く困らないのだ。
だから私のことを考えて服を着替えさせてくれるリリィを本当にいい子だと思う。
「いい人に囲まれるって幸せなことなのね」