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少女の家庭教師
「花嫁様の家庭教師をさせていただきます。マリアマ・ルディと申します。どうぞマリアマとお呼び下さいませ」
お客様は私の家庭教師だった。
暗めの金色の髪は綺麗に1つにまとめあげられ、水色の瞳は雲1つない空を想像させられる。
マリアマはどの動作をとっても気品に溢れている。
私はなんだか恥ずかしくなりながら礼をした。
「よろしくお願いします。…マリアマ」
「はい、花嫁様。必ず花嫁様を立派なレディにして差し上げますわ」
マリアマはにっこり笑った。
私はその笑顔に何故かはわからないが恐怖を覚えた。
あれから1ヶ月がたった。
マリアマは……スパルタだった。
コルセット、裾を踏みそうなほど長いドレスに、転びそうになる踵の高い靴。
どれも身につけたことのないものばかり。
これらを身につけてのマナーレッスンが一番キツイ。
ミスの連発でマリアマに怒られてばかりだ。
まだ座学の方がいい。
マリアマにほとんど怒られないし、楽しい。
「森に居たときは楽しいとか思うこと、なかったな」