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少女の混乱
「花嫁様のお部屋はこちらになります!」
そういって目の前の扉を開けるのはさっき紹介された私の侍女になるらしいリリィ・カメルという14、5の少女。
焦げ茶色の髪をツインテールにし紅い瞳で一生懸命こちらを見てくる。
私はリリィを見たときからウサギみたいだと思っている。
普通に歩いているはずなのにどこか跳ねているようにピョコピョコ動くリリィの後ろに続き私はその部屋に入った。
入って驚いた。
全体的に白を基調とした部屋はシンプルだが、ソファやテーブル、目に写る調度品はどれも高級品だとわかる。
なによりその部屋の広さに驚いた。
私がいた森の小屋が入ってしまうのではないかと思うくらい広かった。
「お日さまの光が良く入る気持ちがいいお部屋ですねぇ~」
リリィはそういって楽しそうにしているが私には訳がわからなかった。
何故こんなにもよい待遇を私は受けているのだろうか?
花嫁とはそんなにもよいものなのだろうか…