4/31
少女の気持ち
私は馬車の中から流れ行く景色をただ黙ってみていた。
森が草原へ替わり、草原が街並みへ替わった。
街へ入りしばらくすると一際大きな建物の中へ馬車は入っていった。
城と呼ばれる物である。
ようやく馬車が停まると外からドアが開いた。
「花嫁様お降りください」
私は乗った時と同じように言われるがまま馬車から降りた。
目の前にずらりと人が並び頭を下げていた。
気味が悪い。
その光景を見てそう思った。
10歳に満たない孤児に、花嫁に撰ばれた、それしかない少女に頭を下げる大人達。
どう考えても異常だった。
「何を思って頭を下げているのかしら」
口をついて出た疑問は誰にも届くことなく風にのって消えた。
私は今城の与えられた一室にいる。
ベッドと机とソファなど必要最低限の物しかないこじんまりとした部屋だ。
これから一年間はこの部屋で過ごすことになるだろう。
マナーレッスンや勉強を叩き込まれる生活をおくることになっているからだ。
「人と関わるのは嫌だな」
私は静かに目を閉じた。




