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青年と出会う
連れてこられたのは森の中にあるお屋敷だった。
一番強い人に嫁ぐ訳だから王様を想像していたが違うらしい。
権力が有るのと強さは別物ということなのだろう。
では強面のいかにも百戦錬磨な人物なのだろうか。
考えを巡らせながら歩いていたらどうやら着いたらしい。
案内してくれていたグランが立ち止まった。
グランはこの屋敷の執事であるらしい。
少しくすんだ金髪をオールバックにした凛々しいという言葉が似合う男性だ。
「花嫁様。こちらが旦那様のお部屋でございます」
そう私に告げると部屋の主に入室の許可をとり扉を開けた。
なかにいたのは珍しい黒髪をした青年だった。
こちらに向ける瞳も髪と同じ黒。
百戦錬磨とは言い難い細い体をしている。
細いといっても筋肉は引き締まり眼光は鋭い。
そして何よりも目を引いたのは青年のもつ鎌だった。