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食堂に向かう道中、双子の身の上話を聞きいて驚きを隠せなかった。
右から左に流れる全体ミーティングが食堂で行われ、部屋に戻るとすぐに寝落ちした。私のベットは右側の上段レーアとの、エレメントリーフ(じゃんけんみたいなもの)を制し、見事、上段を勝ち取ったのだ。
翌朝6時。ホールに行くと先生たちがあわただしく動いていた。
・・・無理もない。今日は何といっても入学式なんだからな。さっさと帰ろ。
邪魔したくないのもあるけど、パジャマにローブを羽織ったいかにも校則破りな恰好を先生たちに見られたらろくなことないし・・・。
船に乗り込む。地平線の向こうからは太陽が顔のぞかせている。さえずる鳥の声も聞こえる。
そして、あたりをぐるっと見渡した。ホールの北側は寮スペース。
大木が天井を突き破っている、大きな温室のようなのはエメラルド寮。
サファイア寮の寮は朝早くから図書館が開いている。おそらく今は勉強時間だろう。
赤やオレンジの屋根が特徴のルビー寮。この船が目指している場所だ。
最後に大きなアメジストが特徴のアメジスト寮。
昨日はよく見えなかったが他にもいろんな建物が見える。
後ろを振り返るとホール、そしてその奥の島に巨大な時計塔が見える。学園の中心地だ。
ゴトンッという音と同時にルビー島につく。ドアを開ける。薄暗い室内に光が差し込む。
赤茶の絨毯にソファ、本棚。昨日も見たラウンジの風景。でも、今は少しだけ違う。
昨日はみんなの荷物や忙しそうに動くセンパイ。大きな入学を歓迎する魔法のホログラム。
それらは今は無く、あるのは静かな空間と家具、そして校則破りの新入生ただ一人。
足早に部屋に戻り、軽い身支度をすます。朝ご飯を食べようと、3人を起こそうとするが双子はそろいもそろって爆睡中のためレーアを起こし、食堂に向かう。
「1階のラウンジを右に曲がり外廊下を通り3つ目の脇道を左へ」昨日のセンパイの言葉を頭の中で連呼する。まだ半分しか目が開いていないレーアを片手に引っ張りながら3つ目の脇道を左へ曲がる。
すると、昨日の夜来た、豪華な食堂に行きつく。コックの人に朝ご飯を作ってもらう。
数分後、朝食「炎のチーズスティックパン」と「小川のハーブサラダ」が食卓に並んだ。
「おはようございまーす」
ギィィというドアが開く音とともに2年生のセンパイが入ってきた。
「おはようございます!プルス先輩!」
プルス先輩は2年生の時期寮長候補の1人。飛行魔法の達人と呼ばれ現・空中戦王者だ。
「あれ?俺が一番だと思って入ってきたのに、早いね~」
にこやかに笑う先輩はコックのおじさんに慣れた様子で「いつもの~」と注文をした。
センパイのメニューは「北部高原特製フロストベリーのジャムパン」だ。このパン一つですべてが完結する魔法のパンらしい。
ッご飯を食べ終わった私とレーアはラウンジの頂上を目指す。展望台だ。「学園唯一王都を見ることができる場所だ」。昨日、先輩がそう言っていた。展望台で朝日に照らされたレーアは目が覚めたみたいだ。
2人は昨日出会った場所を眺める。
「なんか・・、昨日会ったみたいじゃないみたいだね・・」
「私も。何か、ずっと昔にあったことのある仲みたいだね」
私はそう言いながら隣の赤い瞳を見る。そして、そっと口を開き、はるか彼方に見える黄金の宮殿のほうを指さした。
「あそこから、すべてが始まったんだ・・・!」
「うん。もう降りようか。みんな起きてきたころだろうしね」
そう言って階段を下りる。部屋に戻ると私のフェザークレフトが肩に飛び乗り1通の手紙を渡してきた。
『全生徒への通達。明日より7日の間にアークランティアにて、杖、素材、研究材料、食料品・日用品を購入してくること。金貨は学校で配るため安心せよ。500金貨。———学年主任ゴラン・ルーンバック』
「うへぇ、ヒデー宿題。入学2日目に出す宿題じゃないだろ」
独り言が思ったより大きく出た。双子も起きたみたいだ。
10時。ホールにはちょうど光が差し込んでいた。それが、学園長にあたり輝いている。
5分後。全員がそろったのか学園長は咳ばらいして、台に上がった。
「全員起立!これより、第345期生入学式を始める!着席!」
学園長の威厳ある声がホールに響き渡る。緊張で、心臓が破裂しそうだ。
「では、ようこそ『王立魔法学専門学校アルカナム』へ!歓迎するぞ。新入生の諸君!」
そういって学園長は台を下り、学年主任ルーンバック先生が台に立った。
「一同、空を見よ!」
ルーンバック先生は言った。言われるがまま空を見た。天井が、先生たちが唱えた魔法で透明化する。
そして、間を置かずして大きな鐘の音。瞬間、上空に魔法のホログラムが輝いた。
―――祝福する。第345期、新入生たちよ。空のホログラムは3秒で消えた。
この前本で読んだ気がする。あれは、この学校の歴代の学園長たちが作るホログラムだと。
「学園長の言葉。一同前を向け!」
再び学園長が台に立った。
どうも。LYONです。第5話を読んでいただきありがとうございます。
まだまだ初心者ですが温かい目で頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それではまた次回でお会いしましょう。see you next time.