2ページ目 飛び立つ馬車
「ゴゴゴゴゴッ・・・」という轟音とともにここを離れる時が来た。
みんな続々と馬車に乗り込んでいく。私とレーアは最後の最後。
レーアが乗り込み私が馬車に乗り込もうと手すりに手をかけた瞬間・・・。
「っ!」
私は強力な魔力を背後に感じた。背中伝いに伝わってくる。そして、私を一番驚かせたのはその「ゆらぎ」だった。・・・・あの魔力の「ゆらぎ」間違いない。間違えるはずもない・・・。魔王軍に所属する魔族のものだ。しかもこの魔力の大きさ。相当強い。でも・・、いったいどこから?
この城は周囲を聖域の守りによって魔族は寄り付かないはずだ。
じゃぁどこから。結界の外側から魔族がのぞいているのか、王都内に魔族が侵入しているのか・・。
前者ならありがいが・・。ありがたくもないか。後者なら国自体の危機だ。
「どうした?乗り遅れるよ。フューラ」
「ん、ああ。今乗る」
馬車は飛び立った。そう文字通りに。
この馬車には浮遊の恩恵という魔法がかかっているようだ。外を見ると半透明の金の翼が羽ばたいている。
山の向こうからは光が差している。夜明けだ。『夜明けとともに、月の石の平原は光を失う』昔、母親に読んでもらった本に書いてあった。本当にその通りだ。
光を失った理由はルナティック平原の土が関係している。ルナティック平原の土にはルナティックオパールが多く含まれている。ルナティックオパールは月光を反射する。しかし日光は反射しない。これが平原が輝く理由だ。平原の名前の由来もこの現象だし。
ハッと横を見てみると黄金の宮殿が見えた。あの高い塔は・・・謁見の間か。
天空街は見ると豪華絢爛の一言に尽きる。天空街は王侯貴族が住む高貴なる街。一般人は滅多に入ることができないのはもちろん、滅多に見ることもできない。黄金の宮殿が下に見えることは、人生で一回あればいいほうだ。そんなにレアな体験をしていることはとても感慨深い。
「ねぇ、私、次の目的地聞いてなかったんだけど・・・。次どこに行くの・・・?」
小声でレーアが話しかけてきた。私はこれまた小声で答えた。
「次は北の都市、ジジミューだってさ」
「ジジミューってあの第三都市の?」
「私はそれ以外ジジミューを聞いたことがないんだが・・・」
苦笑を交えて言うと、「違うのがるかもしれなよ~?」とレーアが言ってきた。
2時間後。私の予想の通り、メルジ国第三都市であるジジミューに到着した。
「ほらな?」
と、ドヤ顔で言った。
「う、うるさいなぁ。たまたまでしょ?」
と、赤面を隠すかのように外を向いたままレーアが言った。
私も外を見てみると、見覚えのある双子を見つけた。8年くらい前。まだ母さんが生きてるころだった。
幼いころから仲が良かった双子が引っ越した。
でも、それで完全に縁が切れたのではなく年に一回くらい会いに行っていた時期もあった。
最近は行けてないけど。
確か名前はアティアとイフェリア?だっけ。
アティアは攻撃を得意とし、イフェリアは防御を得意としている正反対の双子。
しかし、双子ということもあってか容姿がとても似ている。見分けるのは至難の業。しかも間違えたら、ものすごく怒られるため名前を呼ぶのは寿命が縮む。そんな二人が乗り込み、馬車は再び天高く飛び立った。
どうも。LYONです。ここまで読んでいただきありがとうございます。
まだまだ初心者ですが温かい目で頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それではまた次回でお会いしましょう。see you next time.