最終話、夜明け
「残業ライフ 〜職場に革命を起こす者〜」は今回で最終話です。私はこの小説を通して、現代社会の現状や希望を日本中、いや、世界中に発信できたらいいなと考えております。
さあ、最終話の始まりです。いってらっしゃい!
小森のテレビ出演から数日経ち、勤め先の社内では小森を称賛する声が溢れていた。社長や部署の代表者たちは労働環境の改善に積極的に取り組むようになったのだ。小森の訴えは、会社のイメージ回復にも大きく貢献した。その功績が認められ、小森は新たに発足した「職場安全プロジェクト」のリーダーに任命された。社員が安心して働ける環境を作るという、責任ある役割だった。
そんな中、小森の部署に以外な人物が入社してきた。それは、以前キャバクラの「ジュエル」のNo.1キャバ嬢だった香山だった。彼女は高倉の事件をきっかけに店を辞め、心機一転し、新たなスタートを切ろうとしていた。小森は社員が増えることを嬉しく思い、香山を温かく迎え入れた。
共に働く中で、小森は香山の真面目さと思いやりに触れ、彼女が過去の傷を乗り越え、前向きに生きようとしている姿に心を打たれた。そして、小森は様々な社員の相談に乗るうちに、自分が本当にやりたいことに気づいた。それは、目の前の悩みを抱える人をサポートし、勇気づけることだった。
本当にやりたいことを見つけたことで、小森は思い切った決断をするのだった。
「香山さん、あなたは過去の過ちを乗り越え、社員を助け、職場を明るくすることができるはずです。ですから、僕の職場安全プロジェクトのリーダーの役割を、あなたに託します。」香山も、彼の思いを受け止め、リーダーシップを発揮してプロジェクトを推進していくことを誓った。そして、小森はこの会社を退職した。
翌日の夜、小森が勤めていた会社の社長や社員、そしてプロジェクトのリーダーとなってだんだんと会社に馴染んできた香山が会社の打ち上げで、居酒屋「戸張」へ訪れた。彼らは店長の金田に注文を伝え、しばらく待った。そして、別の店員によって注文の品が運ばれてきた。
「お待たせしました!ご注文の品はお間違いないでしょうか?」と、どこか聞き馴染みのある声だった。彼らはふと目をやると、店員の姿に目を丸くした。社長も「信じられない」といった表情でその店員を見つめている。そう、この店員は、小森優也だった!しかし、小森の顔は以前のような疲労の色はなく、やりたいことに全力を尽くす、充実感に満ちたものだった。
「小森くん……君、ここで働いているのか?」
社長は驚きと安堵が入り交じった声で尋ねた。
「はい、今はここで働きながら、皆さんの相談に乗るのが僕の喜びなんです。」小森は心からの笑顔で答えた。
彼らは小森との思いがけない再会を喜び、まるで我が子の成長を見守るかのように応援したのだった。
深夜までの残業という、苦しい戦いを終え、自分がやりたいことを楽しむ小森の表情は、夜が明けたかのように、輝いていた。
いかがでしたが?「自分がやりたいことを全身全霊で楽しむ。」これはラクそうに見えて、案外ラクじゃないんですよね。でも、そうして初めて、人は自分の人生の主役となって輝ける、そういう世の中になると思うんです。私は私。あいつはあいつ。で、あなたはあなたです。人生と言う名の物語を作るのはあなた自身です。この人生と言う名の物語をどういうストーリーにしますか?