5話、いざ、潜入調査!
今、小森と社長を筆頭に、社員たちがぞろぞろとキャバクラ「ジュエル」の店内に入っていった。すると社長は小森に小さな声でこう言った。「小森くん、取り引きの件は社員たちに任せて、私と君で香山と高倉の関係について調査するぞ。」
すると、「ジュエル」の経営者らしき人物が現れた。蛇のようにこちらを睨み、厳し目の口調で、「あなた達は何者だ?なんか用でもあるのか?ないなら出てけ!」
と言い残すと、社長が社員たちを守るように、「実はこの後社員たちと取り引きについて、あなたと話すんですよ。なぜなら、このキャバクラが取り引き先に決まったんですからね。それと、キャバ嬢の香山さんと話がしたいのですが…」
と名刺を渡して即座に言った。この発言に納得したのか、経営者らしき人物は、自ら社長に名刺を渡した。確認してみると、こう書かれていた。「ジュエル経営者 増山龍矢」
予感が的中し、やっぱり経営者だった。
そして、増山さんは社長を別室に誘導し、香山と話をさせてくれるようにした。社長は小森と高倉も一緒に連れてきて、香山のいるスウィートルームへ向かった。扉を開けると、いかにも高倉が好みそうな金髪の女性が席に座っていた。そう、こいつが香山だ。経営者の増山さんが香山に向けて、「どうやらこの人達が君と話をしたいらしい。」
と言い残し、ロビーに戻っていった。
すると、香山は高倉を見て、「高倉さん!?どうしてここに!?」
と思わず叫んだ。社長は高倉に一言、「ほう、知り合いなのか。楽しかったかな?我が社の売り上げ金でやった性行為は?」
と少し嘲笑うように言った。香山は驚き、高倉は怯えて、つい、荒い口調で話してしまった。
「何も知らねぇお前が何言ってんだよ!」
とうとう頭と言う名の火山が噴火した社長は、「全部小森くんから聞いた!この音声を聴いてみろ!お前が香山さんと通話した時のやつだ!しかも、小森くんがあんたに押し付けられて必死に作った我が社の売り上げ金の資料も見てみろ!前年度に比べて大幅に減ってるよな!今お前に命じる。クビだ!荷物をまとめて出ていけ!」
もう言い訳できなくなった高倉は絶望して香山に抱きついた。ところが、「売り上げ金で遊ぶろくでもない男と一緒になりたくない!」
と怒鳴り、強いビンタを喰らわせた。その痛さは山よりも高く、海よりも深かった。
高倉がこの店を出た後、香山と一部始終を見ていた経営者の増山は謝罪した。小森は香山になぜ高倉と絡んだのかを質問した。すると驚きの回答をしたのだった!「私、増山さんに残業を押し付けられているんです!他のキャバ嬢たちは皆定時で帰っているのに毎日私だけ!それのストレス発散であの行為に至ったわけです。申し訳ございませんでした。」
増山さんはそれを知り、大粒の涙を流し、自ら自分を殴った。「私が間違っていた。毎日の残業でここまで苦しめていたなんて。」
そう言い、社長と小森も今後の残業について深く考え始めた。彼らはこの店を後にして、すっかり夕方になった道を歩いていた。
一見、革命が終わったように感じるが、本当の革命はまだこれからである。