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一日三話投稿で、これは今日の三話目になります。
共同生活を初めて七日後ーー
サナはずいぶん成長したように思う。
「もう大丈夫ね」
「ええ、余裕だわ」
「じゃあスケルトンで練習するわよ」
「どんとこいだわ」
口調まで似てしまったのが気になるが、まぁいいでしょう。
前と同じ喫茶店でスケルトンとお茶を飲ませてみた。
「スケルトンさん、ご趣味はなんですか?」
「骨の収集かな」
ちなみに今回は口をカタカタ動かしてわたしが声を当てている。
「そうなんですね。ところでスケルトンさん。わたし、近頃かわったと思いませんか?」
「えーと、どこが変わったのかな?」
「ふふん、知りたい?」
「う、うん……」
サナはスケルトンの頬を撫でながら耳元に口を近づけた。
「じゃーあー、わたしを楽しませてくれたら、お・し・え・て・あ・げ・る」
彼女はそういって、ふぅ、と息を吹きかけた。
「リリア……あなた、あれを見てどう思う?」
「お嬢様って誰かを口説く時あんな感じなんですか?」
「……やめてよっ!」
くっ、なんだか自分のことをさらされているみたいでこっぱずかしいわ。
とりあえずサナには大人の恋愛漫画を読み漁って得た知識を植え付けてみたものの、はたしてこれでいいのかよくわからない。
でもすくなくとも自信はついたはずだ。
「サナ、いける?」
店に戻って尋ねると、サナは力ずよく頷いた。
「はい師匠! わたし、いけます! いまなら告白できます!」
「じゃあもういってきちゃいなさいな」
「はい!」
サナは意気揚々と店を出ていった。
「本当に大丈夫でしょうか……こんな恋愛弱者たちのアドバイスを真に受けてしまって……」
「たちはやめなさいよ……わたしだってがんばったんだから……。ま、うちはアフターサービスもちゃんとする優良企業だからね。いくわよ、リリア」
「いくって……まさか尾行するつもりですか?」
「当然でしょ。こうなったら絶対成功させてみせるわ。どんな手を使ってでもね」
そう、どんな手をつかってでも、だ。
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