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あばら屋の一幕


夜半のあばら屋。

ボロボロの戸を開け、旭が入って来た。他に客は無く、陰気で古い店内を歩き、旭はカウンター席に座る。

「醤油ラーメンを一つお願いします」

「……ん」

カウンター内には、店主が一人きり。ガリガリに痩せこけて顔色が悪い、年齢の分からぬ男。客には「死神」と呼ばれている。弥命の行きつけのラーメン屋ながら、飲食店とは思えぬ店。それに、旭は最近慣れて来た。味は確かなおかげもある。

(つるぎ)は」

「叔父さんは、もう少しで来ます」

旭の答えに何も返さず、店主はラーメンを作り始めた。

やがて、ラーメンが旭の前に出される。

「いただきます」

目を嬉しそうに輝かせ、美味しそうにラーメンを頬張る旭をじっと眺めていた店主は、おもむろにチャーシューを旭の丼に追加する。

「え?」

「……サービス。デカくなれ……」

「ありがとうございます。デカく?」

困惑している旭を見、しみじみと店主は呟いたが、急に顔を上げた。旭の後ろを睨んでいる。そこには、顔を伏せ、肩を震わせている弥命がいた。笑いを必死で堪えている。

「死神が……餌付けしてる……」

「叔父さん?」

振り向いて弥命に気付いた旭は、首を傾げる。店主は呟いた。

「……お前のチャーシューは減らす」

「何でだよ!?」

ようやく顔を上げた弥命は、店主に抗議しながら旭の隣に座った。





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