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トラクターの運転(3)次女の視点

トラクターが目の前で堂々と動いているのを見て、心臓がバクバクしてる。ついにこの時が来たんだ。ずっと楽しみにしていた、あの大きなトラクターに乗れる日が。近くで見ると、本当にでっかいなぁ。タイヤなんて私の身長よりもはるかに大きいし、あのエンジン音もなんだかワクワクしてくる。機械の全てが私を引きつけて離さない。


長女が運転してるのを見て、少し退屈しながらもその動きを観察してた。長女は慎重だからね、動きも遅いし、なんだか教科書通りって感じ。まあ、初めてだから仕方ないんだけど、私ならもっといろいろやりたいのに。実験もいくつか思いついているし、この巨大な機械をどこまで操れるのか、試してみたい。横から見てるだけじゃ飽きちゃうし、早く私に順番が回ってこないかな。


長女が運転を終えると、ボブおじさんが私に向かって、「よし、次はお前だ、次女」と言ってきた。待ってました!私はすぐにトラクターの方に駆け寄って、ハシゴをよじ登る。うわぁ、こんな高い場所から見下ろすのは新鮮だな。地面が遠くに見える。まるで自分が何か大きな力を持ったような気分になる。


シートに座ると、少し硬くて、でも心地よい。ハンドルは思ったよりも大きくて、両手でぎゅっと握るとしっかりと手に感触が伝わってくる。エンジンの振動が体全体に響いて、なんだか体がこの機械と一体化しているような感覚だ。これは楽しい!もう気持ちが抑えられないくらい興奮してきた。


ボブおじさんがハンドルの操作方法やペダルの踏み方を丁寧に教えてくれるけど、頭の中ではすでに次のことを考えている。そう、スピードだ!この巨大な機械をどれだけ速く動かせるのか、それを試してみたいんだ。少しハンドルを動かして、ペダルを踏んだ瞬間、トラクターがゆっくりと前に動き始めた。その感覚がたまらない。もっと速く、もっと自由に動かしたい!


「いいぞ、その調子だ。でも焦らずにゆっくりな」とボブおじさんが言う。でも、私はもう待ちきれない。ペダルを強く踏み込んでみる。すると、トラクターがぐんと加速するのが感じられた。おぉ!すごい!風が顔に当たって、草が横に流れていく。これだ、これをやりたかったんだ!このままスピードを上げて、もっともっと進んでみたい。


長女が少し心配そうに見てるのが視界の端に映るけど、私は気にしない。だって、今はこの瞬間が最高なんだもん。次は急ハンドルだ!トラクターがどれくらいの反応をするのか知りたくて、思い切ってハンドルをぐいっと回してみた。すると、車体が大きく傾く。おぉ、これは…ちょっとやりすぎたかな。バランスが崩れかけて、危うく横転するところだった。


でも、なるほどね、こうなるんだ。この巨大な機械でも、限界を超えるとこんな風に制御が難しくなるんだ。頭の中で「次はこうすればもっと安定するな」と考えながら、冷静にハンドルを戻して体勢を立て直す。すぐにスピードを落として、ゆっくりと進む感じに戻す。ボブおじさんが「おいおい、ちょっと危なかったぞ」と少し驚いた声で言ったけど、私は満足だ。これも一つの実験結果だもん。


「ふぅ、面白かった!」と私は笑顔で叫びながら、シートから飛び降りる。やっぱりこの巨大な機械を操るのは最高だ。ボブおじさんは苦笑いしながらも、「まあ、次からはもう少し慎重にやるんだぞ」と言ってくれた。もちろん、次回はもっと上手くやるさ。


次は三女の番だ。三女は私みたいに大胆なことはしないだろうけど、彼女なりの楽しみ方があるんだろうな。彼女らしく運転すれば、きっと楽しいはず。トラクターの魅力を感じてもらいたいな、と思って彼女に「次は三女の番ね!」と楽しそうに声をかけた。


でも、三女の顔を見ると…あれ?なんか怖がってるみたい。まさか、私の運転が怖かったのかな

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