街にて(3) 長女の視点
店内の明かりがまぶしい中、私はリストを見つめ、次に何を買うべきか考えていた。備蓄をしっかりしないと、いつ何が起こるか分からない。心の中で焦りを抑えながら、冷静に計画を立てる。そうすれば、妹たちも安心してついてきてくれるはずだから。
カートの中には缶詰や乾燥食品、トイレットペーパーなどが積み上げられている。目をやりながら棚を探すと、いつもとは少し違う雰囲気を感じた。商品棚の一部が空いているのは、最近のニュースの影響だろうか。買い物客の表情も神経質で、普段の賑わいが薄れている。心の奥で、穏やかな日常がいつ崩れるかわからないという不安がざわめく。
「次は何だったっけ……」リストを見直し、必要なものをチェックした。次はパンや野菜を買うつもりだが、ふと特設コーナーに目が引かれる。乾電池や懐中電灯、水のボトルが積み上げられているのを見て、「もしもの時」のことを考えずにはいられなかった。平和な日常が薄氷の上に立っているかのような感覚が、私の心に重くのしかかる。
次女はそんな状況を気にせず、UFOのプラモデルに夢中だった。彼女の目は輝いていて、その様子を見て少し羨ましく思った。現実の厳しさを知りながらも、彼女は楽しむことを忘れない。その無邪気な姿に、思わず微笑みがこぼれる。
一方、三女は少し離れた場所で、ぬいぐるみをじっと見つめていた。ふわふわした犬のぬいぐるみだ。彼女が何を考えているのか、言葉にしなくてもわかる。以前のクジラのぬいぐるみのことを思い出しているのだろう。小さな手がその柔らかさを確かめている姿を見ると、胸が痛む。三女は感情を表に出さないが、こうしたささやかなものに気持ちを込めることがある。それは、彼女にとっての安心の象徴だ。
今日の買い物は計画的に進めなければならない。無駄なものは買わないように、強く心に決める。しかし、彼女のその姿を見ると、次回はぬいぐるみを買ってあげたいと思った。いつも我慢している彼女に、少しの喜びを与えたいと願う。
再びリストに目を戻し、次は本屋さんだ。必要なものを揃えた後に、役立つ本を探す予定だった。次女は科学や技術の本が好きで、三女は絵本があれば嬉しそうにする。私自身も、現実から少し離れるために小説を一冊手に入れておきたいと思った。
次女と三女が興味を持つものに引き寄せられると、買い物に時間がかかるのはいつものことだ。それが私たちの日常であり、そうした時間が私たち姉妹にとって大切だと感じる。お互いが何を見て、何を感じているかを知ることで、私たちは繋がっている。買い物という日常の中にも、私たちの絆が深まっていくのを感じられる。
「そろそろ行こうか」と声をかけると、彼女たちが振り向いた。彼女たちの視線を受けて、心の中に小さな決意が芽生える。これからどんな状況になろうとも、私は二人を守り抜く。彼女たちの好奇心や笑顔が続く限り、全力でそれに応えるつもりだ。
次は本屋だ。その後は家に帰り、薬膳料理をふるまうんだ。




