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22話 その男、世渡りもする。


「アデル君、勝手な事をされると困るよ」


授業後、俺はレイブル教授にこう苦言を呈される。


「やはり君は評判通りかなりの問題児らしいな。次の授業は出ないでもらいたい」


さっそくこんな処分を突き付けられるのだけれど、俺には秘策があった。


「レイブル教授。なにをおっしゃるか。あれは先生の配慮だったんですよね? 実に見事な授業でした」

「……な、なんのことだ」

「いやぁ、謙遜されないでください。あれくらいの簡単な魔術、教授にできないわけがない。

俺が新任だから、生徒にアピールするチャンスをくれたんでしょう? 本当にありがとうございます」


おだてる、というだけの簡単な策だが。



5年前みたく、むやみに敵を作ることはない。

むろん誰かに媚びるつもりもないが、利用できるところはうまく使っていきたい。


レイブル教授が見栄っ張りな性格であることは、今日の授業ではっきりと分かっていた。

間違いを指摘されるとすぐにキレるのだから、他人からの印象を過度に行きにしているのは間違いない。


「…………あ、あぁ、そう、そうなんだよ。よく分かったね、アデル君。私にかかれば、あの程度の魔術は余裕さ。簡単にできるよ。驚いた顔は、いい演技だったろう?」


予想通り、レイブル教授は分かったふりをする。


当然大ウソだろうが、ここは「先生の配慮も演技も、さすがです」と乗っておいた。


「それで、私は次の授業に出ても……?」

「あ、あぁ、構わないよ。そうだ、次は喪失魔術史の授業になるから、最初に君がやるといい」

「私などが授業をしてもいいのでしょうか」

「かまわないよ。君が間違っていたら、私がただすようにするよ」


……ま、そんなことはまず怒らないだろうけれど。

とにかく俺は一日目にして、実質的に授業をする権利を得たのであった。



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