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違和感


 その日はゆいちゃんの通院日で、その後遊ぶ約束をしていた僕は病院の外で待つ事にしていた。


 病院の外のベンチに座っていると、徐に僕の隣に座った中年男性が何かぶつぶつと独り言を言っている、顔色も悪い。


「具合が悪いんですか?」

 僕は一応声をかけてみた。


「いいえ」


「そうですか」


 なんか気味悪いなぁ。そんな事を思っているとその人はまだ何か喋っている。耳を澄まして聞いてみると。


「その日に決断しなければ一生戻れない」


「チャンスはその日しかない」


 その人は僕の方を向かずにずっと前を見たまま喋っている。

 

 僕に言ってるんじゃないよね‥‥きっと。



「ごめん、待った?」

 ゆいちゃんが検診を終えて出てきた。


「大丈夫だよ、どうだった?」


「特に変わりはないよ!」


「よかった、じゃあ行こっか」


 僕は何気なく振り返ると、そこにはさっきの人はもういなかった。なんだったんだろう。


「何か話してたみたいだけど、知り合い?」


「見てたの?」


「会計待ってる時に外見たらいたから」


「知らない人だよ。なんかボソボソ独り言言って少し怖かったよ」


「あの人どっかで見たことあるんだよね、思い出せないけど」


「そうなの?変わった人だったよ」


 僕達はそれ以上気にする事はなかった。



「今日どこ行くー?」

 ゆいちゃんが腕を組んでくる。


 最近ゆいちゃんと、どんどん仲良くなっていくし、触れ合う機会が増えた気がする。キスは、あの日以来していない。だけど、僕も少しずつ自信が持てるようになって、いつかは‥‥。



「ねえ、聞いてる?」


「あ、ごめん。なんだっけ?」


「どこ行く?って聞いてんの」


「じゃあカラオケでも行く?」


「行きたい行きたい!」


 僕達はいつものカラオケ店を訪れていた。


 しかし、その日は運悪く満室だった為、近くのネカフェで時間を潰すことにした。


「なんか面白い動画ないかなー」

 ゆいちゃんがPCで動画を漁っていた。


 しばらくぽちぽちしていると、

「あー!!!」

 いきなり大きな声を出すゆいちゃん。


「どうしたの?!」


「この人だよ!私が思い出せなかった人!」


「誰の事?」


「かずきがさっき外で話してた変な人だよ!」


「本当だ、この人だ」


 どうやらその人は動画を配信している人らしく、ゆいちゃんはそれを見かけた事があったのだ。


「動画見てみる?」

 ゆいちゃんがそう言うので、僕達は興味本位で見てみる事にした。



「なにこれー意味わからないし面白くないね」


 動画は僕達には理解ができないような難しい内容だった。時空の歪みがどうとかブラックホールだとか。いつか見たSF映画の世界のような話していた。



「‥‥うん」


 なんだろう、この違和感。この人が言っている事はちんぷんかんぷんなのに、何故か僕の中の僕がソワソワしているような。


 ‥‥僕の中の僕?


 ゆいちゃんはすぐ他の人の動画に変えてしまった為、僕は自分のスマホで続きを見る事にした。


 動画の続きを見てみると、その人はタイムリープしてきたと。いつかのクリスマスの日に病院の屋上から飛び降りて自殺を図ろうとしたらしく、目が覚めると過去に戻っていたという。



 僕は完全に忘れていた事をその時思い出した。


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