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人間証明写真

作者: 青井 朱鷺
掲載日:2019/08/28

サークルの中(なか)を代(か)わる代(が)わる並ぶ蛙(かわず)笑(わら)う鯰(なまず)

目(め)の前(まえ)の机(つくえ)捨(す)て唯一(ゆいいつ)の服(ふく)で行方不明(ゆくえふめい)

ただの鬱(うつ)ですね探(さが)さないで

屈(かが)んで語(かた)る堅物(かたぶつ)や、花壇(かだん)で回(まわ)る風車(かざぐるま)

あれも無(な)いこれも無(な)い晴(は)れの無(な)い空(そら)

愛想(あいそう)が尽(つ)きた、何(なん)で此処(ここ)にいるの?と子供(こども)に聞(き)くと

返(かえ)って来(こ)ない答(こた)えに溜(た)まるストレス

蠢(うごめ)く負(ふ)の芽(め)全(すべ)てが自己満足(じこまんぞく)

掃(は)き溜(だ)めに吐(は)き続(つづ)けた結果(けっか)、当(あ)たり前(まえ)の様(よう)に溢(あふ)れ出(で)る憎悪(ぞうお)

意味(いみ)の無(な)い危機(きき)を掻(か)い潜(くぐ)り、目(め)にした先(さき)もその先(さき)も行(い)き止(ど)まり

昨日(きのう)は昨日(きのう)、今日(きょう)は今日(きょう)、停止(ていし)する思考回路(しこうかいろ)


嗚呼(あぁ)


被検体(ひけんたい)第一号(だいいちごう)、名前(なまえ)は愛(I)にしよう

毎日(まいにち)の世話(せわ)が大変(たいへん)

轟(とどろ)く雷鳴(らいめい)に驚(おどろ)く姿(すがた)も、要(い)らないからゴミ箱(ばこ)に捨(す)てよう

餌(えさ)を与(あた)えないと鐘(かね)が鳴(な)る、此(こ)れは意外(いがい)と金(かね)掛(か)かる事(こと)に気付(きづ)くと

与(あた)えるのは一日(いちにち)一度(いちど)のジャンクフード、もう頭(あたま)の中(なか)はパンク中(ちゅう)よ

温(あたた)かい肌(はだ)を触(さわ)る冷(つめ)たい手(て)も悴(かじか)んで

面倒見(めんどうみ)るのは短時間(たんじかん)で充分(じゅうぶん)、だって面倒臭(めんどうくさ)いの


嗚呼(あぁ)


お菓子(かし)を食(た)べる、可笑(おかし)い事(こと)

共有(きょうゆう)出来(でき)ないから分(わ)からない友達(ともだち)の価値(かち)

ただ笑(わら)うにも、からかうにも相手(あいて)がいない

川(かわ)や海(うみ)にも行(い)けない檻(おり)の中(なか)、月明(つきあ)かりに浮(う)かぶ首輪(くびわ)が軋(きし)む

思(おも)い出(だ)す程(ほど)の記憶(きおく)も無(な)いから、明日(あした)から逃(に)げる様(よう)に閉(と)じる重(おも)い瞼(まぶた)

描(えが)こうよ、切(き)れない出刃包丁(でばぼうちょう)


嗚呼(ああ)


ふざけるなよ、歪(ゆが)める顔(かお)

それもどれも何(なに)もかも気(に)に食(く)わない

太陽(たいよう)の影(かげ)、私(わたし)は可哀想(かわいそう)と嘆(なげ)けば

ありもしないモラルと小指(こゆび)の爪(つめ)を割(わ)る

あるのは己(おのれ)の理想像(りそうぞう)のみ

居候(いそうろう)の見(み)るヒーローショウ

良(い)い子(こ)にしようと関係(かんけい)無(な)い

私(わたし)との違(ちが)いと、常時(じょうじ)ライトの当(あ)たるあなたに興味(きょうみ)ないの


嗚呼(あぁ)


現実(がんじつ)より現実(げんじつ)寄(よ)りの妄想(もうそう)に泣(な)いて

瞳孔(どうこう)開(ひら)いて、目(め)の前(まえ)に広(ひろ)がる世界(せかい)だけを見(み)る

緩(ゆる)め続(つづ)けたネジはいつか外(はず)れ、一(ひと)つの惑星(わくせい)から覚醒(かくせい)する

拡声器(かくせいき)なしでも響(ひび)き渡(わた)る怒号(どごう)

誰(だれ)の声(こえ)

雨(あめ)を越(こ)えた青天(せいてん)の霹靂(へきれき)

見(み)た事(こと)の無(な)い足下(あしもと)から鳥(とり)が立(た)つ

問(と)い質(ただ)す暇(ひま)も与(あた)えず、罪(つみ)に罰(ばつ)という罪(つみ)を犯(おか)す

音(おと)が散(ち)る方向(ほうこう)、迸(ほとばし)る炎(ほのお)

おとなしく鼓動(こどう)を押(お)さえ込(こ)み

口角(こうかく)上(あ)げ、産(う)まれて初(はじ)めての手作(てづく)り料理(りょうり)も

ばらまく調味料(ちょうみりょう)に転(ころ)がす真(ま)っ赤(か)なトマト

いいの、これでいいの、これで


嗚呼(あぁ)


地球(ちきゅう)が笑顔(えがお)でいられない

子宮(しきゅう)まで突(つ)き刺(さ)し仮面(かめん)で隠(かく)す二重螺旋(にじゅうらせん)

可能(かのう)なら、はじめましてとさようならは一緒(いっしょ)が良(よ)かった

望(のぞ)んでいた事(こと)なのに希望(きぼう)ではなく絶望(ぜつぼう)だった

夢(ゆめ)に踊(おど)り埃(ほこり)被(かぶ)った黄色(きいろ)い小鳥(ことり)

もう失(うしな)うものは何(なに)も無(な)い

失(うし)ったものの有(あ)り難(がた)みを知(し)りながら、立(た)ち上(あ)がり、今(いま)、その脚(あし)で未来(みらい)へ向(む)かう

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