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第8話 覚醒

窮地に陥った僕はいったいどうすれば…?


さくっと読めます。

このあと僕の嫌な予感はほんとに当たってしまうことになる。



「殺りなさい!!ポセイドン!」


佐々木が叫ぶ。するとポセイドン、異形はさも殺すことが趣味かのように楽しそうに僕らに向かってきた。



キーーーーン!!!



金属音が響き渡る。


ポセイドンに対してエリと団長が対抗する。先程エリは僕との戦闘で負傷したはずなのに傷はすっかり治っているようだ。


なんて自然治癒力なんだ…信じられない…


団長も目にも止まらない速さで剣さばきをしてポセイドンに対抗している。そんな人間離れした2人を相手にポセイドンはまだ余裕の笑みを浮かべ強烈な殺意を醸し出している。


「くっ、なにこいつ…!!」


エリは異形の強さを実感したようだ。


「あなた達、ポセイドンと戦う仲間を心配するのもわかるけどそろそろ自分の心配をしたらどうかしら?ふふ」

佐々木が何やら合図すると地面から異形が30体近く現れた。


「な、何だこの数は…!?しかも囲まれている」


「おぼんくん、戦う準備はいい?もう私たちは逃げられない。やるしかないの」


「なんてこった…」


異形に囲まれたせいで団長とエリ、ポセイドンの姿が見えない。


「お願い、私を助けて…」


そう榊原が言い放った瞬間、榊原は榊原でなくなる。


そこには異形しかいなかった。


「ウオオオオオオオアアアアア…!!」


「サカキ…!あなた!!」


ミサキさんが榊原の異形の姿に驚く。


「ミサキさん、榊原は辛うじてあの姿でも理性を保っています。僕らも援護しましょう」


「そ、そうなのね…行くわよダイアリーホルダー…!抜刀…!!」


ミサキさんはそう言い抜刀した。


「な、何だこの刀は…!?も、燃えている!?」


ほかのプロテクターのメンバーと違い、ミサキさんの刀は紅く燃えていた。


「あああああああ!!!!」


襲いかかる異形に対して猛攻を加える榊原とミサキさん。


「おいお前、そこで何をしている。俺を使え」


「わかってる、行くぞ。ダイアリー」



『オープンダイア………えっ!?』


僕は前のようにダイアリーを起動した。なのにダイアリーは起動しない。


「ど、どういうことだ!?」


「ふふふ、あなたの相手は私よ。ダイアリーホルダー。舐めてもらっちゃ困るの。ダイアリーを発明したのは誰だと思ってるの?私たちの組織よ?しかも発明者は佐々木、私の兄なんだけれど」


「なっ…!?お前の兄がダイアリーを作ったって!?」


「相棒これはまずいぜ、俺は日記を開くことが出来ない。おそらく開発者権限と言ったたところだろう」


「なんなんだよそれ!?なんとかならないのかそれは」


「ならんな」


「…」


ならんなって…これもう終わったに等しいのでは。


「よく思い出せ、俺はお前だ。お前は俺だ」


「ははははは!ダイアリーホルダー、滑稽ね。この世界の仕組みもこのダイアリーのこともなんも分からないあなたにこの世界を救う資格はないわ。もちろん世界を壊す資格もないわ!さぁ死になさい」


佐々木は以前見たのと同じ恐ろしい鎌を取り出し俺に投げた。


「こんなの一体どうすれば…!?」


もう間に合わない。


僕の目の前に鎌がある。最強のダイアリーは使えない。あっさり開発者権限とやらでとめられてしまった。


ダイアリーを封じられた僕にこの世界を救う方法はないしいまこの状況を脱する方法もない。


目をつぶる。


数秒後、


「グッ…あああああああああ…!!!」


あれ?僕は痛くない…。一体何が起こったんだ?


僕は目を開けて目の前を見る。すると僕じゃない誰かが僕に当たるはずだった鎌を受けて倒れている。



「だ、団長…!?!?しっかりしてください…!!」

団長が倒れていた。


「いいか、ダイアリーホルダー。プロテクターは何人もいるが、ダイアリーホルダーはお前しかいない。だからお前は生きなきゃいけない。世界を救わなければならない…グッ…うっ…すまんな、俺はどうやらここまでのようだ…あとはみんなを頼むぞ…」


「だ、団長…!!!!!」


団長は僕を庇って死んだ。


無能で平凡な僕が生き残ってどうして団長みたいな有能な人物が

死んでしまうのか。


もうわけがわからない。


「あら、外したわね…まぁもう一度やればいいだけの話」


「お、お前…!!!!」


「あら?あなた何も出来ないくせに何かいおうっていうの…?笑わせないで」


事実を言われ僕は何も出来ない。僕以外はみんな必死に世界を救うために異形と命をかけて戦っている。


なのに僕はなんだ?

どうして僕はここにいる?


たとえ理不尽な成り行きだとしてももう既に死んでいたはずのこの命、僕を救ってくれた人達のために使うべきではないのか?


僕は少なくともそう思う。


「僕は諦めない…!命ある限り!」


ダイアリーが言ったことを思い出す。あれがどういう意味だったのか。


僕は日記に書くように高速で脳内に文章を練り上げる。



僕は今ここに徒然なるままに語ろう。


何もわからないまま世界が終わった。


そして僕も死んだはずだった。


でも僕はダイアリーホルダーとして世界の神秘に干渉できるダイアリーを使い世界を救うことになった。


しかし今このダイアリーは封印されてしまった。


僕はこのまま何も出来ず死ぬのか?


否、僕にできることはまだある。

それは僕がダイアリーであればいいのだ。


僕は凡才であるが『俺』はダイアリーだ。

今ここに日記を刻もう』


そして僕に代わり『俺』は念じる。


『オープンダイアリー』


俺の異変に佐々木は気づく。

「あ、あなた何をやって…あなたのダイアリーは封印されたはず…!?いけない!!異形たち、これは緊急事態よ!早くダイアリーホルダーを殺しなさい!!」


そう言いながら佐々木は鎌で『俺』を斬り掛かる。


「相棒、いや、もう一人の自分、よくやった」


そんなダイアリーの賛辞を受けながら俺は告げる。


そして俺はもう一度日記に文字を刻む。


『鎌よ、持ち主を斬れ』


佐々木の鎌を俺は素手で受け止める。


「なっ…!?無能なお前がどうして私の鎌を…!?」


「グッ…なんで私の鎌が私のことを斬るの…!?」


佐々木に構わず俺は日記の詠唱を続ける。


『異形よ、直ちに粉砕せよ』


「ンオオオオオオアアアアアア…!!!」


パン…!!!!


異形の悲痛な叫びと破裂音とともに異形は消滅した。


「お、おぼんくん!?」


「ダイアリーホルダーお前!?」


「何が起こったの!」


榊原、エリ、ミサキさんが俺の方見る。異形たちが一瞬にして消滅したわけだし驚くのもわかる。


しかし構わず俺は詠唱を続ける。


『佐々木、お前の怨念を斬る』


ダイアリーはいつの間にか光り輝く剣に形を変えていた。


「いくぞ、佐々木」


「あなた何者なの…!?やめてやめてやめて!!殺さないで!!いやああああああ!!」


ザアアアアアアアっっっ…!!!

大量の血飛沫とともに佐々木は倒れた。


あたりは沈黙に包まれる。

異形によりプロテクターは榊原、エリ、ミサキしか生き残っていなかった。あれだけ居たのに…クソ…


そして俺は日記を手に持っている。


「くっ、うっ…私、死んでない…どうして…?」


佐々木が呻きながら声を発する。

「なんでかって?それはお前の怨念だけを斬ったからだ」


「私の怨念…?どういうことなの」


「お前は佐々木であって佐々木でない。異形に完全に精神を乗っ取られている状態だ。だから俺はお前の怪異の部分を斬っただけだ。直に正気に戻るだろう」


「あなたはなんてことを…うっ…お前さえいなければ私の計画は達成されたのに。ダイアリーホルダー、絶対に許さないっっっ!!!!あああああああ!!!!!」


佐々木はそう叫びながらいし気を失う。


「やれやれ、俺も嫌われたものだ。直ぐに意識を取り戻すだろう」


「お、おぼんくんだよね…?」

何やら心配そうに榊原が俺に話しかける。


「ああ、俺だよ」


「キャラ違くない?おぼんくんどうしちゃったの…?私たちはおぼんくんのおかげで生き残ったんだけど…」


「俺は俺だ。おぼんだよ。俺はダイアリーホルダーであってダイアリーなんだ」


あれ?僕は何をしているんだ…?

何を言っているんだ僕は。


次第に意識が現実へ吸い寄せられていく。

「お、おぼんくん!?!?」


僕は倒れた。何が起こったのかわからないけど僕は今めちゃくちゃ眠い。だってこの一日ぶっ通しで起きてたんだから。しかも普通の日じゃない、世界が終わった一日をすごしていたんだ。



ごめんねみんな、僕は少し休むよ。

そして僕の意識は暗い暗い底へと沈んでいった…。

少しでも面白いと思ってくれた方、つまんな!と思った方、何も思わなかった方、ここまでスーッとスクロールしてしまった方、どなたでもブクマや評価やレビューなどなど大歓迎&募集中です!よろしくお願いしますm(*_ _)m

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