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第7話 僕は一日中徒然なるままに寝ていたい

僕は日記にはダイアリーとのことは何も書いていない。

というか生きるのに精いっぱいでそれどころじゃなかった。


僕と日記の会話が僕の字で綴られてるってどういうことなんだろうか…?


僕はベッドに横たわり日記を見る。ずっしりと今日一日の疲れが出てくる。一瞬で眠ってしまいそうだった。


「これが世界の神秘に干渉する日記か…信じられないな」


しかしこの一言を発してしまったことで、僕の睡眠は0になった。


「なーにが信じられないだ。その目で2回も見ただろう」


お決まりのように突然ダイアリーは僕の独り言に参加してきた。


「うわあああああ、びっくりした…いつも急に出てくるんだなダイアリーは」


「毎回驚きすぎだろ、そろそろ慣れろ。お前はまさか現状がわかってないのか?」


ダイアリーさんに痛いところを突かれる。僕はずっと平和な日常を過ごしてきたわけだし、多くの人とコミュニケーションをとっていたわけでもなかった。だから僕は他の人より外からの刺激に敏感になってしまうのだ。その結果驚いてしまう。


「そんなこと言われてもな…僕はただの凡才。しかも今朝まで普通の生活をしていたんだ。それなのに佐々木が世界を終わらせて、僕は異形に追いかけられて…死亡確定案件なイベントが色々あったんだ。少しは状況把握できる時間が欲しい…」


こんな濃い一日を過ごして果たして一日で消化できるだろうか、いやできないだろう。それくらい濃密な、死に近い一日だったってことだ。


「ああ、そんなのは分かってる。だから俺が教えてやるつってんだ」


「そうだったのか?そいつは助かる。今のところ君の予想通り、僕はわからないことだらけでね…僕にいろいろ教えてくれるなんてもしかして、ダイアリーは優しいやつなのか?」


するとダイアリーは大きなため息をついた。


「はあ、優しいものかよ。俺はお前にしっかり現状を理解してもらって俺を使って世界を救ってもらわきゃならない。俺はやるべきことをやるだけだ」


相変わらず理不尽だなあ。当たり前のように僕には決定権はないらしい。まああったところで僕はただこのままこの世界の終わりで死んでいくことしかできないのだが。


ここで僕はダイアリーに根本的な質問をするとしよう。


「そうか、わかった。じゃあ突然だけど君は何者なんだ?神なのか?」


「俺は世界の滅亡を阻止するために現界するダイアリーという世界の抑止力のようのものだ。俺がいれば世界の滅亡を企むやつらを倒せるわけだ」


「それもう無敵だよな?」

こんな無敵な日記があるなら世界が終わる前に何とかできなかったのか?地球さんよ…


「無敵、か。まあお前には無敵に見えるかもしれない。でも今の俺は不完全な状態だ。俺に勝るやつもいないとは言えない。そして今の俺は一つしかできない。お前はすでに二回経験したと思うが、選択肢というものを使ってある程度制限を設けた状態でお前に選択してもらう、これだけだ。要するに俺が何かを一から百まですべてをすることはできないんだ。お前が選んだことだけ俺はすることができる。」


「なるほど、今は不完全な状態なのか…なんで僕がダイアリーの使い手になったんだ?」


「知るかよ。でも俺らには何かしらの縁があったと考えるべきだ。いきなり全くの無縁のやつらがつながるわけがない」


「君との縁か…正直僕には分らない。まぁ何であれ君に助けられたおかげで僕は今生きてるんだけどさ…」


「そうだぞ、俺を褒めろ」


基本的にこのダイアリー様は高圧的で口が悪いということがこの会話の中で一番よく分かったことだ。


「あ、ありがとうございます…にしてもなんで僕らの会話がすべて日記に記されてるんだ?しかも僕の筆跡で…僕は書いた記憶なんてないぞ」


「ふむ、お前の唯一の特技は日記に一日の出来事を事細かに書くことだ。実はそれがダイアリーホルダーに求められる最低値の能力だ。そしてこれは俺とお前の会話はお前同士の会話だ。そりゃお前の筆跡で書かれてるに決まってるじゃないか」


いやいや、色々論理が飛躍してる。というか言っている意味が分からない。つまりダイアリーは僕の一部であるからこれは僕一人個人でされている会話、つまり独り言だということだ。


「僕は君の一部ってことなのか…?」


「そうに決まっているだろう。ダイアリーとダイアリーホルダーは表裏一体なんだ。わかったか?」


「わからない…」


ダイアリーの説明はなんとも要領が得ない。これは後々わかっていくことなのだろうか。

人知を超える能力なんてあれこれ考えるより「そういうもの」として考えたほうがいいのかもしれない。とても理不尽だけど。



「つまりお前はこれから地球を終わらせたヤツらを全員ぶっ倒せばいいだけだ。な、簡単だろ?」


「か、簡単なわけあるかぁ!?」


(ブーブー!  ブーブー!  ブーブー!)


突然サイレンのようなものが鳴り響く。このプロテクターの基地に何かあったのだろうか?


「おい、これから戦闘が始まるぜ。準備はいいな?」


と、ダイアリーは告げる。

「せ、戦闘!?なんで」

僕は今日一日の出来事でめちゃくちゃ疲れているし今すぐ寝たいところだったのにそれすら叶わないのか。


「いちいち反応が大きいなお前…そろそろ慣れたらどうだ」


「一日足らずでこんなに異常に慣れたまるか!!」


「まぁそんなことはどうでもいい、敵襲だ」


ど、どうでもよくはないんだが…この際気にしないことにしよう…


「「!?」」


すると突然部屋の扉が開く。


「おぼんくん!バイオマーダーにここの場所がバレたみたいなの。急いで逃げるよ!」


「ええ!?ここバレちゃったのか…さすがにセキュリティが甘くないか…」


「以前は見つかってなかったんだけどね…おそらく君のダイアリーよ。恐ろしい程にオーラが出てるから」


「ぼ、僕のせいか…ごめんなさい」


「謝らなくていいから逃げるよ!」


「逃げるったってどこへ!?」


「生き残ってる人達が住んでいるところがこの近くにあるらしいの。だからそこへ行く」

そんなところがあるのか。生き残っている…といってもあの大惨事だすでにもういない可能性だってある。

生き残っている人間はみんな球体に入っていたウイルスによって異形に変えられてしまっていた。おそらく現地での戦闘は避けられないだろう。


「わかった」


僕と榊原が広場に出るとそこにはプロテクターの団員達が集合していた。


「ダイアリーホルダーが来たな。よし説明を始める。みんなも知っての通りここがバイオマーダーにバレた。もうすぐここに襲撃しに来るだろう。このままだと俺らは全滅する」


「団長なにいってんの!?私ら最強のプロテクターじゃん!あんな奴に負けない!」


エリが反論する。でも異形を見てきた僕と榊原は知っている。プロテクターの力でも異形は倒せない。数人がかりでやっと互角になるかならないかだ。しかも相手は異形だけじゃない。異形を操る佐々木のような奴

もいるだろう。


「エリちゃん、異形はとんでもなく強いよ。異形の相手は異形かダイアリーしかできない」


榊原は重みのある声で伝える。


「う、で、でも!」


「エリ、これに関してはサカキの言う通りだ。我々には勝ち目はない」


「くっ…」


「説明の続きをしよう。これから俺らは隣町の生き残りの人間がいると報告された基地へ向かう。ただそれだけだ。道中何があっても歩みを止めるな。歩みを止めたら死ぬぞ!」


「よし、プロテクター、俺に続け!!!行くぞ!!!!」


そして団長に続き外に出る。


そこには予想通り、一番今あってはならない人物がいた。

「あらあらあら、みんな揃ってこんばんは、ですわ」


「「!?」」

僕と佐々木は驚く。プロテクターの基地の上で待ち構えていたのは佐々木だった。


「おい!立ち止まるな走れ!走れ、止まったら死ぬぞ!!」

団長が叫ぶ。


「ずいぶんと間抜けな団体ね。敵襲が来たのに素直に地上から出てくるなんて…なんて哀れな。そんな哀れなあなたたちを今すぐ救ってあげましょう。さあ、今ここで死になさい。先ほどと同じミスはしないわ、もう逃がさない」


佐々木はギリっと僕らを睨む。


ああ、いやな予感しかしない。頼むぞ、ダイアリー…。


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