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四季暦は死にたくない  作者: 韋駄天
一章
13/14

林間学校1

あれから、幾日が立ち、いよいよ今日からの三日間。土曜日から月曜日までの小旅行。待ちに待った林間学校である。


僕は、クラスの実行委員に選ばれてしまい、準備などにいろいろ手間取ることもあったが、やはり持つべきものは友である。時雨や時貞、林檎まで手伝ってくれ、なんとかやり遂げることができた。



朝学校につくと、ずらっとバスが並んでいた。一クラス一台で、僕たちは4組。ちなみに林檎は2組である。

「おぉ実行委員。この注意事項かいてる紙、全員分あるから一枚ずつ各席に置いてきて」

バスに乗ろうとすると、担任が息を吐くようにパシってきた。


何事もなかったかのように、スルーしようとした僕の肩をつかみ、笑顔で追撃してくる。

「いやいや。実行委員だよ?準備するだけが仕事なわけないじゃない。始まってからは私のサポートが仕事よ。それよりあれかい?君は先生に嫌われて内申ボロカス書かれたい願望でもお持ちかい?」

パワハラである。パワハラ100%である。


僕はできるだけ嫌な顔をしながらそのプリントを受け取り、仕事に取り掛かった。



バスの中に入ると、まだ出発まで30分ほど時間があるにも拘らず、もう半分以上の生徒が席についており、ワイワイガヤガヤ。軽い宴会状態になっていた。


「こよみん!お疲れ様~!」

仕事を終え、自分の席に着くと隣に座っている時雨が声をかけてくる。

僕は時貞と座るものとばかり思っていたのだが、里奈理沙コンビの強引な計らいにより時雨と相席になったというわけだ。

ちなみに、必然的に一人余った時貞は、担任と座ることになり、今も僕の代わりに飲み物を買いにパシらされている。


まぁ僕より時貞の方が扱いやすそうだしね!このまま実行委員変わってもいいんだけど。。。

いや無理矢理にでも譲りたい…



!「痛っ!」突然の痛みに思わずバスの中で声を上げてしまう。

「こよみんが悪いんだよ?全然私の話聞いてくれないんだから~!おこだよ!」

すかさず時雨が横から声を出してくる。


どうやら彼女が僕に話していたらしいのだが、全く聞いていなかった。

というか、いつの間にかバスは高速道路を走っているようだった。。。

「あれ?僕寝ちゃってたかな?」

僕の質問に時雨は目をきょとんとする。

「え!こよみん寝てたの?いつから!?ずーーっと私の話無視してたの?全部私の独り言!?ありえないよー」


大体30~40分程度寝ていたらしい。その間時雨は、ずっと僕に話しかけていたらしい。

いや。今まで僕が聞いていないのに気づかなかったほうがありえないだろ。


やり返しだーといいながら僕の体に触ってくる(勿論服越しだ)彼女は、どこからどうみてもお門違い。逆切れ甚だしい。

だが、この状況だけ見た人からすれば、ただのバカップルのいちゃいちゃにしか見えないのだろう。目線が心に刺さる。


というか、最近妙に感じなかったのだ。入学からずっと続いていたどこからともなく向けられる殺意のような視線が。気が付けば。いつも間にか。

だから今日、びっくりしたのだ。久々の悪意のこもった視線。僕がいつも気にしていた奴だ。

僕が時雨を無視してあたりを見回すと、いつ間にかその視線も感じられなくなった。


せっかくの林間学校だ、何も起こらないことを祈って僕はまた眠る・・・



「イタッ!!」

「こよみん!さすがにそれは扱いが雑ってもんだよ!愛が足らないってもんだぞ!」


僕の彼女様は寝かしてはくれなかった。


「眠らしてくれるのも愛ってもんだと思うんだけどなぁ」

そんなことを呟きながら横で騒いでいる時雨に構おうと向き直る僕だった。

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