64話集結
「なんなんですかこの状況は」
「恐らく、英雄の墓の管理を任せられていた団員達が何者かに襲われたんだろう」
みるに耐えない死体ばかりだ、中には胴体が真っ二つに分かれている死体まである。
「リンさん、見てください。 この死体傷跡から人間の仕業じゃないし大きな力で無理矢理引きちぎれた感じがします」
「そうだね、まず人間の仕業ではないけどここに魔物が簡単に侵入して来れるとは考えづらいしまず魔物ごときにやられるような団員達ではないし」
「じゃあ誰がこんな事を」
「それを調べるのも私達の仕事かな、竜は墓をくまなく調べてみて、私は死体の方を調べるから」
リンさんの指示通り血塗れになった墓石をくまなく調べていく、墓石の中でも一際大きな墓石が一切の汚れもなく静かに佇んでいる事に気がつく。
その墓石の周りをぐるっと一周回ると裏に小さな窪みがあった。 その時体内の刀が反応し、窪みをコツンと小さく突いた。 すると窪みが少しずつ大きくなっていき手を入れられるぐらいの穴になった。
リンさんがまだ死体を調べているのを確認してから穴に手を入れていった。 手を入れた穴の隙間から眩い光が漏れ始め逆の手で目を覆い隠す。
「竜! 大丈夫?」
光を見たリンさんが駆け寄って来る、光は一瞬だけ光って消えてしまった。
「墓を調べてたんですけどいきなり光ったんですけど特に何か変化は無いですね」
嘘だ。 本当は光った後に穴に入れた手の中には黄金の髑髏の形をした指輪があった。 体内の刀が早くこの髑髏から魔力を吸収したがっている。 ものすごい量の魔力がある指輪だ。 リンさんはまだ完全に味方という訳では無いし黙っておこう。
「なら良かった、もうここは何もなさそうだし、他の団員達を呼んでここを任せて私達は光の塔に戻りましょう」
「え、戻って大丈夫なんですか? 俺の事牢屋から逃がしたのバレて今聖都に戻ればリンさん捕まると思いますよ」
「そんな事分かってるけど、出掛かりが無い以上今は聖都に戻ってシャイン団長に直接理由を聞くしかない」
その時聖都がある方向で大きな爆発音がした。
「なんだ今の音は! 竜、早く馬に乗れ光の塔に急ぐぞ!!」
俺はすぐに馬にまだがって再びリンさんに抱きついて聖都へと戻る事になった。




