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63話「指令」

63話「指令」


 「起きろ、竜、朝だ」


 「ちょっとりんさん、早くないですか?」


 「朝の5時だ充分寝ただろ」


 「後5時間寝たいですよ」


 「良いから行くぞ、団長からの個人的な命令なんだ。 何か掴めるかも知れない」


 「わかりました、どこに行くんですか?」


 「聖都の外れにある墓地だ」


 「墓地ですか? そこに行って何するんですか?」


 「わからないけど、墓地の中に歴代の団長達の墓が墓地の地下にあるらしくてそれを清掃してくれとの命令です」


 「そんなの誰でも出来る仕事じゃないですか」


 「団長が私って言ったら私がやるの。 ほら行くよ、早くさっさと手錠壊して牢から出て来て」


 「手錠外してくださいよ」


 「自分で外せるでしょ、わかってるからさっさと出て来て」



 気づかれていたのか、手錠を腕ごと壁に叩きつけ壊して牢の外に出た。



 「私に付いて来て」



 リンさんの後を付いていき螺旋階段を登り、小さな裏口みたいな所から外に出た。



 「これに乗って」



 リンさんはそこに馬を2頭待機させていた。



 「リンさん! そんな馬より、良いものがありますよ!」



 腰のベルトに手を掛けようとするがそこには何も無い。 ナービにベルトを預けているのをすっかり忘れていた。



 「どうしたの? なんかあるの?」


 「いえ、なんでもないです。 それと俺馬に乗るの初めてなんですけど初心者でも乗れますかね」


 「はぁ? 団員で馬に乗れない奴が居たとはね、わかったわ私の後ろに乗って」


 「それはちょっとカッコ悪すぎる、リンさんが俺の後ろに乗ってくださいよ」


 「初めて馬に乗る奴に手綱を任せると思ってんの? もう時間もないし早く乗って」


 「分かりましたよ」



 大人しく手綱を握るリンさんの後ろに跨った。



 「しっかり捕まってね」


 「分かってます」


 

 そうは言ってもどこを掴めばいいのかわからない。



 「もう早く、腰だよ、腰に早く手を回して抱きついて」


 

 リンさんの腰に手を回し抱きついた。 その瞬間馬は猛スピードで駆け出し、振り落とされそうになり自然と俺の抱きつく腕の力は強まった。

 


 馬はあっという間に墓地のある聖都の外れへと到着した。 



 「良し! 到着! 早く掃除を済ませよう」


 「なんか薄気味悪い所ですね」



 霧が薄っすらとかかったような墓地はお世辞にも綺麗とは言えない雰囲気で一本続く道の脇には暮石が立っていて道の奥には噴水があった。


 「私は静かな所が落ち着くから聖都よりは好きかな」


 「そうですか、俺はあんまり好きじゃないですね。 英雄達の墓はどこにあるんですか?」


 「まっすぐ行ってあの噴水の下にあるみたい」


 「なら早く掃除して、帰りましょう」



 気味の悪い墓を抜けて噴水の脇にある階段をリンさんが先行して下りて行くがリンさんは何故か階段を下りきった所で止まってしまった。


 俺はリズム良く階段を下りてリンさんを追い越した先の部屋は部屋中血塗れで思わず鼻を覆いたくなるような匂いと団員達が無残な姿で死んでいた。



 



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