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58話牢獄と提案




 「飯だ! 食え!」



 看守は鉄格子を開き朝ごはんのトレーを地面においた。 今日の朝ごはんはパンと干し肉か、なかなか悪くない。 


 元々昼飯は抜く派の人だから毎日三食しっかりと出される牢獄の飯は悪くない。 ここの寝床も良くある藁を敷き詰めただけとかじゃなくて、しっかりとしたベッドだし。


 幽閉されて5日目最初は容疑者としての取り調べだけだったはずなんだけど、どうやら影の塔でナービが暴れたせいで、俺はもう一人前の犯罪者になったしまったらしい。 どうみてもここ牢獄だし。


 出ようと思えば体内に縮めたカトウがあるからそれを使えばすぐに出れると思うけど、そんな事をしてら国中の奴らから追われるしここは地道に話合いで誤解を解いていこう。



 「リュウ! 尋問の時間だ! 立て!」


 

 俺を見張っていた団員がそう叫ぶ、日課の尋問の時間だ尋問といってもただ一方的にお前がやったんだ!的な事しか言われないけど。


 団員に後ろから槍を突きつけられながらいつもの部屋に入る。 今日は嬉しい事にいつものバカ尋問官ではなく俺を捕まえたリンさんが座っていた。 


 行儀よく机の上のティーカップから何かを飲んでいる。 良い匂いがするから高級な紅茶がなんかだろう。



 「やっぱりこの紅茶という飲み物は私には合いませんね、甘ったるくて好きじゃありません」


 「何でですか? 貴族の人はみんなそういうのちっちゃい頃から飲んでいるはずでしょ」


 「私は貴族ではないので辺境の狩猟民族の出身です」


 「そうだったんですね、じゃあ木の実とかそういのが良いですよね」



 いつも無表情なリンさんの顔が少し緩んだ気がした。



 「今日はあなたが行ったガイア山の騒動や影の塔の大暴れの事ではなく別の話で来ました」


 「何ですか?」


 「私が辺境の狩猟民族だったという話はしましたよね、それでこの光の団の隊長シャインさんとの出会いも狩猟民族の時でした。 


 私の狩猟民族は基本定住地を持たずに野原から野原へと獲物を狩りながら生活していました。 そこに圧倒的な力を持つ龍が空から突然襲来し、戦闘能力には自信のあった私の家族や親戚達も全員殺されてしまいました。 


 そこにちょうど家出をして放浪の旅をしていたシャインさんが現れて生き残りの私と一緒に命がけの戦いを繰り広げ龍を殺しその首を聖都に持って帰りました。 

 

 その功績としてシャインさんと私は団員として認められ、一緒に背中を預け合い続け今の各団の中でも最強の光の団の団長と副団長になる事が出来ました」


 「ものすごく感動的なお話ですね、それで何でこの話を俺に?」


 「最近のシャインさんはシャインさんじゃない、別人です。 根拠はありませんが確信はあります! 野生の勘です!」



 ものすごい眼光でこっちを見てくる、めちゃくちゃ怖い。


 

 「それで何をすれば良いんですか?」


 「あなたのあの強さを見込んでのお願いです。 私の直属の部下として一緒に働いてシャインさんの秘密を探って欲しいんです。 もし断った場合は斬首刑です」


 「それって拒否権はありますか?」


 「首が飛ぶだけです」


 「じゃあリンさん! これからよろしくお願いします」



 俺とリンさんは強い握手を交わした。 斬首刑とリンさんの部下なら0対100でリンさんの部下を選ぶよね、しょうがない

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