第5話マルタ村
5話目!今回は日常パートでしたね。
第5話マルタ村
「お前がリュウか! ミラから話は聞いてるぜ、まぁ立ち話もなんだし、仕事しながら村の事を話すから付いて来なもちろんお前にも手伝って貰うぞ!」
強めに肩を叩かれ、反射で体が動く。
「わかりました!頑張ります!」
アックスさんは見た目は渋くてカッコいいおじさんという感じだ。
体格はがっちりしていて、いかにも大工って感じ、はっきり言いたい事を言いそう。
勝手なイメージだけど。
アックスさんが仕事場に向かうので木を乗せる為の荷台を引きながらついていく。
アックスさんは背中には大きな斧を担いでいる。
木を切る為に使うんだろうな。
「村について情報収集をしてください」
ナービがブレスレットから声をだす。
「了解」
えーと、何質問しようかな。
「ミラとは仲が良いんですか?」
「ミラか、仲は良いというかまぁ普通だな、ミラはこの100人程度しか居ないマルタ村の村長の娘でね、小さい頃から村中を走り回っていたよ、それはそれは元気な子供だった。 今も対して変わってないか」
元気な子供というのはものすごく同感だ。
「だけどなあいつも最近は村長の娘だという自覚が湧いたみたいでな、神の祝福で老人達の肩こりとか腰痛を治して回ってるよ」
「すいません、神の祝福ってなんですか?」
「そうかお前は海を越えてやってきたから知らないのか」
え?海を越えてやってきた?
「ナービどういう事?」
ブレスレットに口を近づけて小さな声で話す。
「ミラには海を越えてやってきた旅人と説明しました。異世界からやってきたとは言えませんからね、上手く話合わせてください」
「先に言ってよーー!」
「おいーーリュウどうかしたのか?」
「いえ何でもないです」
「そうか、お前の居た国では神の祝福というか特殊な能力はなかったのか?」
「そうですね、あるといえばあるし無いといえば無い感じですかねぇーー」
アックスさんは不思議そうな顔でこちらを見ている。
「その話はまた今度にしよう。とりあえず神の祝福の説明をする。神の祝福というのは、この世界にある不思議な能力で、多くは生まれた時に授かる事が多いんだ。 ミラもその1人で、両親は2人とも黒髪だけど、ミラは生まれた時から綺麗な赤い髪をしていたよ、小さい頃からとても元気な子だった。ミラの能力は魔導の真髄と言ってね、とにかく魔法の扱いが上手いんだ、魔力の量も一級品でな、老人の腰の魔術回路をいじって循環を良くしているんだ」
「そうなんですね、じゃあミラは村の宝ですね」
「当たり前だ、でもだからこそこんな村で燻っていて欲しくはないと思っているよ…………なんか湿っぽい話になっちゃったな、さあ仕事仕事、木切るぞ!」
荷台は木の近くに置いた、木というかこの大木は見上げるほどの高さまで生えていて、
太さは俺の小屋ぐらいあるな。
「よーし! 実は俺も神の祝福持ってんだよ! 見てろよ、ハァーーーー! 木こりの一撃!!!!」
あんなに太い大木が一振りで大きな音を立てて倒れてしまった。
「これが神の祝福の力だ、俺の祝福は代々の家系が木こりを生業として暮らしてきたから、授かったんだろうな、もっと細かくして運ぶから手伝ってくれ」
「は、はい!」
呆気に取られていて反応が遅れてしまった。 木こりの一撃か、かっこいいな。
小さくなった木を荷台にのせて来た道を戻る。
「お前のそのブレスレットも神の遺物か?」
「神の遺物??」
「悪い、遺物の説明をしてなかったな簡単に言えば祝福が武器や防具になったと考えてくれれば大丈夫だ」
「そういう事ですか、あーーじゃあこのブレスレットも遺物ですかね」
「おーやっぱりそうか! 普通の装飾品と雰囲気が違ったからな、今度どんな事が出来るのか見せてくれよ」
「機会があればいつでもお見せしますよ」
「そうか、そうだ! お前飯は? 来たばっかで何もないだろ、俺の家で食ってけよ」
「いや、そんな甘えるわけには」
「良いから良いから、俺のカミさんの料理はめっちゃ上手いから食いに来いって」
アックスさんは目を輝かせながら熱心に俺の事を誘ってくる。
「わかりました、行きます」
「良し! 決まりだな! 家もう少しだから付いて来い、酒は飲めるか?」
「いや、飲める歳じゃないです」
「そうかつまんねぇな」
アックスは本当に残念そうな顔をしていた。
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「ふぅーー食った食ったナービ、アックスさん良い人だったな」
小屋のベッドに倒れ込むように寝転がる。
「そうですね、奥さんが綺麗なのも意外でしたが、赤ちゃんがあんなに可愛いとは!! 名前はローズでしたね、あの父から天使が生まれるとは驚きです」
「確かに!!」
その後ナービと今日あった事を楽しく喋った。
「そろそろ寝ましょうか、明日はミラと狐に付いての調査でしたね」
「そうだね、正直まだ変身して戦うのは怖いけど俺がやらなきゃローズちゃんや村の人に危険が及ぶと考えるとせめて逃げ出さずにしようとは思う」
「まだ戦いは出来ないんですね、まぁちょっとずつ慣れていきましょうか、私がどこまでもナビしますよ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
楽しんで読んでくれたら嬉しいです!