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第46話最強の白

第46話最強の白


 「行くぞ、ラヴァナ」


 「来なさい」



 翼を使い超低空でラヴァナに突っ込む、ラヴァナはすかさず白衣を向けてくるが翼で1回振り払うと白衣の触手は数本まとめて粉々になった。



 「くらえ!」



 スピードをそのままにラヴァナの体に鋭い蹴りを入れた、ラヴァナはそのまま鬼達が保管されている容器にぶつかり容器は壊れ肌がスライムのように爛れた鬼達が容器から這い出てきた。



 「また鬼!? もう鬼は飽き飽きしたよ」



 そういいつつ鬼達を倒す為に翼を広げ飛び立とうした時、まだ壊れていない瓶の後ろから白衣の触手が伸び鬼達に刺さると鬼達は一瞬で体が痩せ細り骨と皮だけになってしまった。



 「今のは中々効いたよ、回復しないとね」



 ラヴァナの触手の先には鬼達の死体が無数に突き刺さっていた。



 「自分で鬼達を作ったんでしょ? 少しは愛情とかないの?」


 「ないね、鬼は私の所有物だから」


 「本当人間として何かが欠けてるよ、お前は」


 「もうとっくに人間なんてやめてるよ」



 ラヴァナは体勢を立て直すと再び白衣を伸ばし襲ってきた、翼で振り払うが白衣は形状を変え、翼が起こした衝撃を風を受け流すように吸収した。 翼を振り終えると白衣は再び形状は変え体に巻き付いてきた。



 「楽しかったけどこれでおしまいね、鎧ごと潰してあげるわ」



 ラヴァナは満面の笑みを浮かべている。


 

 「それはどうかな」



 ベルトに力をこめるとベルトは高速で回転を始め、鎧から煙が吹き出す。



 「うらぁ!」



 体を縛っていた白衣を引きちぎり、千切れた白衣を引っ張りラヴァナの体を引き寄せ、腹に1発風穴をあける。



 「これは竜の分」



 体から拳を引き抜き、さらに追撃を加え馬乗りになりラヴァナを感情に任せ殴り続ける。 何度も何度も殴った。  白かった鎧は返り血で赤く染まり染まった頃にはラヴァナは人の原型を留めていない。


 もう良い、こんな事はやめよう。 竜とマルーを連れて帰ろう、まだ竜も医者に見せれば間に合うかも知れない。 そう思い、マルーの体を持ち上げた時、予想通りラヴァナが背後から襲ってくきた。



 「絶対やって来ると思ったよ、大人しくしてれば許してやろうと思ったのに」



 ラヴァナの腕を素早く翼で切り落とした。



 「クソ、こんなはずじゃなかった。 こんなはずじゃ」


 

 ラヴァナはもう後一撃で恐らく死ぬだろう、せめて楽に殺してあげよう。 翼を広げ思い切りラヴァナに向け振り下ろしたが、ラヴァナの取った行動に驚き、翼をすんでの所で止めてしまった。



 首が鈍い音を立てながら回転し始めている。  ラヴァナの傷ついた体は全て治り、白い白衣から、真っ赤な白衣に変わっていった。



 ラヴァナの首が回転し終わるとさっきとは数段違った雰囲気をまとい、肌はツギハギで赤色の肌や茶色の肌などバラバラの色に変わりラヴァナは鬼の死体の上に腰を下ろした。



 「引くでしょこの姿、本気で戦う時はこの姿になるんだけど醜いし、滅多に見せないんだけどね、貴方になら見せても良いかな。 少し昔の話をしようか、私がここまで強さにこだわるようになった理由。 


 私はこの世界の中心の街センターで平凡な暮らしをしていたの、そこに龍族達が空から現れて街を支配した。 龍なんて世界最強の生き物だったから龍に刃向かおうなんて者は居なくて戦闘も起こらずに街は支配されたわ。 


そして私は龍族のマリーという女の子と仲良くなった、マリーは龍族のボス、リュウマの娘で気は強かったけど優しくて良い子だった。 龍族も基本は人間体で活動しているから街の事から何やら何まで教えてあげたわ。


 でもそんな楽しい時間も長くは続かなかった。 マリーの親リュウマが街で突然龍体になり街を破壊し始めた。 マリーは…………街の人達の避難の時間を稼ぐ為にリュウマを止めに行った。 マリーは最初は話合いで解決しようとしていたけど狂ったリュウマはマリーを無惨に殺した。 


 マリーの仇を取るために必死になった。色んな文献や武器や魔物達の事を調べ、自分の体に組み込んで行った。 そしてその過程の中で神から授かった祝福が「不細工な縫合」だった。  あらゆる物質、生物をを自分の体の一部として取り込む能力、私はこの能力を使って殺しては取り込み、殺しては取り込みを繰り返して強くなった。 神から私の進む道は間違ってないんだなと感じたよ。



 そして今日、マリーの手足を移植された男と出会った。 移植したのはどうせミーユだろうけど、あの子はマリーを殺されても戦わずに平和な道があるとかほざいて子だから、甘い考えで移植したんだろうけど私は違う。


 マリーの手足を吸収し、龍の力を手に入れリュウマを殺す! その為ならマリーをもう一度殺したって構わない! あなたなら許してくれるよね、マリー」


 「話が長い、眠くなりそうだったわ、確かに私はベースの人格が設定されている。 それは恐らくマリーだという事は感じる、けど今私は竜のナビゲーションシステムであって旅のパートナー、あなたにマリーの手足を奪われる訳にもいかないし、これ以上街に被害を広げさせられない」


 「悪いわね、長話に付き合って貰って、あなたをマリーだと思って私はあなたを殺すわ、世界で1番好きだ人をね」


 

 私は鬼の亡骸の上に座っているラヴァナを、1度強く後ろから抱きしめ五歩ほど距離を取る。


 ラヴァナは抱きしめられて、ピクッと体が反応したがすぐに私の腕に手を添えた。 ラヴァナはゆっくりと立ち上がり私と向き合い、拳を構える。



 先に仕掛けたのは私、鋭い拳がラヴァナの頬を掠める。 ラヴァナもすかさず反撃をするが拳を翼で抑え、もう一度拳を振りかぶる。 次は確実に頬に当たり、ラヴァナは少しよろけるがすぐに立て直し、殴り返す。


 そこからはお互いに拳以外は使わずに殴り合った。 敵味方ではなくただの友達同士が喧嘩で殴り合っているみたいだった。


 一瞬のラヴァナ動きの隙を見逃さずに、素早く力を溜め、ラヴァナをマグマのガラス張りになっている壁に向かって殴り飛ばした。


 ラヴァナはガラスを突き破り、ゆっくりとマグマに飲み込まれていった。 ラヴァナはどこか晴れ晴れとした表情をしている気がした。



 







 

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