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第38話仕事



 大通りに入った俺は不審な人物が居ないか探しながら歩いていく、実際の所こんな大勢の人が居るところに不審者なんて出てこないと思うが。


 「にいちゃん! 今日も来たんか、あの賭博場の当たり確率絶対おかしいから調査してくれよ」



 道の端のベンチに座って話し合っているのはギャンブル好きなおっさん達だ。 水槽の中をグルグルと回るカラフルな水晶を水槽内に餌を撒いて魚に止めさせて、絵柄が揃ったら商品が貰えるというブルークリスタルというギャンブルだ。 地球のパチンコと同じで魚達はうまい具合に当たりとハズレが揃えられるように訓練されているらしい、あくまで噂だけど。



 「もう毎日言ってるじゃないですか、いい加減ギャンブルなんてやめてお孫さん達と公園にでも行って遊んだらどうです?」


 「お前分かってないな、孫に小遣いあげるぐらいならクリスタルですった方がマシと思うレベルまでワシらは来てるんだよ、もう手遅れだ」


 「もう冗談はそこら辺にしといてください、そろそろ自分は行くんで何か変な事があったらすぐ声かけてくださいね、ギャンブルの調子が悪いとかはやめてくださいね」



 さらに大通りを進む、聖都では最近占いブームが来ていて街の人達はこぞって占いの館に行っている。 


 ホルンさんに連れられて1度だけ行ったけど未来が見えないと言われた。 多分俺は竜と人間が混じっているから魔力を

掴みづらいのだろう。 この世界では何かと魔力を持たない人間の体というのは不便だ。


 俺が思うこの世界の生活における魔力というのは電気のような役割を果たしていると思う。


 体力と魔力は体内で別の場所に保管されているのかは分からないけど魔力を失っても疲れないし、疲れても魔力は減らないという仕組みにこの世界はなっている、体に衝撃を加えられたりすると魔力を上手く使えなくはなるけど。


 そしてこの世界の物はほとんど魔力で動いている。 朝使った調理器具だったりシャワーだったり水道だったり、だから俺の体は混ざっているから魔力の扱いが変身をしないとだいぶ難しいから生活していくにはちょっと不便だ。


 こんな事を考えていると早く地球に帰りたくて仕方なくなってくる。



 「竜くん!」


 「うわ! 毎回気配消して近づいてくるのやめてくださいよ!」



 ホルンさんは背後からゆっくりと俺の肩を叩いた。



 「ごめんね急いでて仕事の時間だよ」


 「仕事ってこうして街を見回ってるじゃないですか」


 「それもそうなんだけど影の団の本来の仕事だよ、ちょっとこれを見てくれるかな」


 

 ホルンさんに手渡された紙にはマルーの顔写真と情報が載っていた。 



 「マルーの事ならこの紙より詳しい事知ってると思いますけどマルーがどうかしたんですか?」


 「ちゃんと良く見たのかい? マルーが他国の王族だって所」



 紙を見返す、確かにイース国の王子と書かれている。



 「これは本当なんですか!」


 「うん確かな情報だよ、それで問題はそれだじゃないんだよ、大地の団が活動拠点としているガイア山の麓の町ロース街にて肌の赤い大柄の化け物がたびたび現れては暴れ回るという事件が続いてるんだ」


 「その事件がマルーと関係があるんですか?」


 「多分ね、イース国に代々伝わる鬼神の術という術があってね、それは身体能力や魔力を爆発的に向上させるというものなんだ、そしてその術を使うと体が赤くなり文字通り鬼のような外見になるらしい」


 「それでマルーが鬼になって暴れ回ってるかも知れないって事ですか?」


 「そういう事、そしてもし本当にマルー君だった場合に殺す事になるかも知れない。 そうすると本来の影の団の仕事つまり裏切り者の始末が必要になる」


 「やっぱりこんなに人数が少ないのには理由があったんですね、わかりました。 影の団の仕事にはまだ納得いってませんがマルーを殺すなら俺が殺します」


 「よく言ってくれたね、太陽も落ちてきたけど早速ガイア山に向けて出発しようか」


 「はい」



 影の団の仕事が裏切り者の始末だったとは予想外だった。 俺にはマルーを殺す事なんて出来ない、マルーがもし本当に街を襲っていたとしてもどうにか話でケリを付けてみようそれでもダメな時は、いやそれは考える必要のない事だろう。


 俺はバイクのアクセルをゆっくりと捻った。




 

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