第31話青空の印
「何だこの騒ぎは、党は無茶苦茶だし、カイザーもボロボロになって、そして同じくボロボロになっているあなた達は誰?」
私の渾身の一撃を軽々と止めた、この小柄な女性は確かにカイザーから団長と言われていた。 こんな腐敗している団の団長は悪い奴に違いない。
「あんた青空の隊の団長? 私ミラだけどここの隊って」
「口の聞き方がなってない」
その瞬間視界が回転した、あれ何された? 目の前には指の先が薄っすらと見えた。 あ、デコピンかぁ。 私はそのまま意識を失った。
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目を開けるとそこはフカフカのベッドの上だった。 眠たい目を擦りながら状況を整理する。 まず私はあの団長にデコピンされて気絶した、そしてここはどこだ? 辺りを見回すと部屋には本棚や机があり、窓から潮の香りがしてくる。
窓から身を乗り出すとそこには目の前に広がり綺麗な海だった。 ここは青空の党の中か、気絶した後ここに運ばれたんだろうか。
その時部屋のノックが鳴り、こちらが返事もしないうちにドアが開いた。
「起きたみたいだね、昨日は名乗れなかったから名乗るけど私が青空の団の団長、マリア、マリアさんって呼びなさい。 昨日みたいな舐めた口聞いたらまたベッドで寝る事になるよ」
マリアと名乗ったその女性は威圧感の割に身長は小さく、服装も短パンで子供っぽい。
「マリアは歳何歳なの? 私よりだいぶ若そうだけど」
「マリアさんだろ、あんたより、10歳は歳上だよ」
また重いデコピンを食らった。
「痛いって! その見た目で私の10歳上はやばい! 姉さんって呼ぶね」
「姉さんでも何でも良いけど、敬語とかわたし意外にも年上にはしっかりとした態度で接する事! それがまずこの隊に入隊させる1番最初の条件よ、わかった?」
「わかりました」
「気だるそうにしない、シャキッとする! 次に問題を起こさない事、気に入らない事があるならまず私に相談しなさい。 これが2つ目の条件わかった?」
「わかりました! もう問題は起こさないです」
「よろしいじゃあ最後にカイザーに謝りなさい、コルサをいじめてた隊員はすぐに辞めさせたけどカイザーはどちらかといえばそういう貴族達と逆の立場に居たのよ?」
「それは知りませんでした。すぺに謝りに行きます」
「素直でよろしい、じゃあ記念すべき最初の仕事に向かおうか」
「何するんですか?」
「あなた達が壊した党の修復です!」
姐さんは笑いながらそう言った。 まだこの隊はマリア姐さんが居る限り何の曇りもない青空をもう一度見れそうだ。
「よっしゃ! 今日中に直しますよ! 姐さん早く行きましょ!」
こうして私の波乱に満ちた青空の隊での生活が始まったのだった。
 




