第26話貴族は大体性格悪い
「たのもー!」
そう言って私は青空の隊門を蹴破った。 後ろには私の裾を掴みながらコルサがついてきている。
蹴破った先にはさっき倒した奴らと同じ制服着た隊員達が何人か居て、1人女の人が近づいてきた。
「いきなり何するの! あなた達ここがどこだかわかってやっているの?」
「わかってますよ、青空の隊ですよね? 私達は新しく入る隊員なんですけど、さっき道を歩いていたら私達が新人ってわかるなり襲ってきたんですよ」
私がそういうと女の人は悲しそうな顔をして話しだした。
「そういう事だったのね、ごめんなさい。 元々ここは貴族出身からなるエリートの隊だったのだけれど、新しく来た団長が破天荒な人で貴族出身だからって全く優遇しなくなったの、それで貴族派と隊長派で隊が分かれてしまっているの。
隊長派は厳しく戦闘は禁じているから、多分貴族派の人間が鬱憤をあなた達にぶつけてしまったんだと思うわごめんなさい」
「そうですかどうしようもないですね、とりあえず貴族の奴らを全員叩き潰す所から始めますか」
「あなたものすごく好戦的な子ね、嫌いじゃないけど気おつけて、今隊長が貿易船に乗っていて不在だから貴族派の副隊長がでしゃばってるわ、何かあったら私に言いなさい私の名前はリズよ」
「ありがとうリズさん、色々とお世話になります」
「じゃあとりあえず部屋に案内しましょうかね、付いてきて」
私とコルサはリズさんの後をついていき、魔法で上下に移動する不思議な床を待っていた。
チーンと鐘のがしたかと思うと中から出てきたのは鐘の音色以上にやかましい黄金の装飾数多くあしらえた鎧を着た男だった。
「見ない顔だな誰だ」
「新人のミラです」
「同じくコルサです」
「そうか、みすぼらしい格好からして貴族ではないな。 名乗る価値もないか」
「お前ムカつくな、初対面で立場が上と言えどどういう態度取ってんだ」
マジでこの男ムカつく! 絶対1発なぐる。
「庶民が何を言ってるだ。 死にたいのか?」
「上等だよ!」
瞬時に足と指先に魔力を回し、高速でさっき壊した門に投げつけてやった。
「ミラちゃんやりすぎだよ!」
「喧嘩は勝ちゃ良いんだよ、不意打ち上等!」
「貴様ら平民の分際で…………わかった、良いだろう名乗ってやる。 私はアポロ・カイザー3世だ、選ばれた貴族しか持てない苗字を持つ貴族の中の貴族だ!」
「興味ないけど、どうせあんたが貴族派のボスなんでしょ? あんたらが今の感じを取り続けるなら相当私の居心地が悪いんだよね、差別をやめる気は無いの?」
「そうだ。 俺がこの隊の副隊長だ。 差別では無い。 貴族が豊かな暮らしをしてこその平民達の暮らしがあるんだ。
私達が落ちぶれると国も落ちぶれてしまう。 貴様にはわからんだろうがな」
「私達と大体同い年くらいの見た目してカッコつけてんじゃないわよ、そんな偉い貴族ならしっかり隊をまとめてみなさいよ」
「充分まとめているつもりだ。 お前らは俺の有難い指導を受ける前にここから消えてもらうがな」
「その根性叩き直してあげる」
カイザーは懐からコインを取り出すとコインを指で軽く弾いた。
コインは私が反応出来ない速度で頬をかすめ、頬からは血が一滴流れ落ちた。




