第20話入団
第20話入隊
マイトさんに起こされ、荷台の後ろの垂れ幕の隙間から外を見ると後ろには同じような馬車が何台も連なっている。
荷台から降りて、マイトさんの隣の操縦席に座る。どうやら聖都の門が開くのを待っているみたいだ。
「さあそろそろ開門だ。よく見ておくといい、すごいぞ」
確かに30mぐらいはありそうな大きすぎる門だけどただ普通に開くだけじゃないのか?
その時門から大きな音共に地響きが起こった。あの馬鹿でかい門が折り紙のように何回も折りたたまれて小さくなっていく。折り畳む時の門の風圧で馬車は大きく揺れる。
その後も何回も空中で折り畳みを続けた門は次第に小さくなっていき、人が持てるぐらいの赤い盾になってゆっくりと落ち始めた。
赤い盾は鎧を着ている1人の兵士の手に渡った。
「すごいだろ? あいつはも警備団の1人でシードという奴で聖都の巨大な門はあいつの神の祝福で出来ている。代々家が門番だったからな祝福も受け継がれたんだろう」
周りの馬車達が慌ただしく門に向かって動き始めた。
「俺達も行かないとシードとは門を通る時に会えるから、その時に挨拶でもしておけよ」
前の馬車達が何十台も並んでいる中、俺達の馬車は特別なのか馬車達を通り抜けてそのまま門の下までたどり着いた。
「おお! マイトさん! お勤めご苦労様です!」
「ありがとう! しっかりやっているか?」
「はい! お陰様で! 隣に居るのは今回の入隊者ですか?」
「そうだ、こいつらは中々見込みがあるぞ! なんて言ったって、俺を3人がかりとはいえこの俺を倒したんだからな」
「またどうせ手を抜かれたんでしょう。そちらの方名前は?」
「リュウです! マルタ村から来ました!」
「マルタ村ですか! あそこの木は何にでも使えますよ! 私はシード! 天の隊所属です。どうぞよろしく」
シードは体格や髪型も全てがかっちりとしていて戦士という言葉似合う青年に見えた。俺はしっかりと手を握り返した。
「よろしくお願いします!」
「じゃあもう後ろも詰まってるし聖都の中に入るか。ありがとな、シード」
「はい! マイトさんもご苦労様でした」
シードさんの居る門を後にし街に進んだ。
「俺は馬車を停めてくるから3人は先にあのでっかい塔に先に向かっておいてくれ」
「わかりました」
俺は荷台で寝ていたミラを叩き起こし街に入った。
街に入るとマイトさんが言っていた大きな塔が目に入った。周りの建物の何倍もある高い塔だった。他にも塔はあったが中央にある塔よりは高くないので多分この塔の事を言っているんだろう。街には屋台や服や武器わ防具などおよそ生活に必要な物は全て売ってそうだ。
ミラは屋台に興味があるのか、一目散に走り出した。
「ねえ! リュウみて! タコがたこ焼き作ってるよ! それにこっちは鶴が服売ってるよ! すごいね!」
「うん、これは素直にすごい! 見た事もない物や魔物ばかりだ」
聖都ではどうやら人間だけではなく色々な魔物も生活しているっぽい。店を出している割合は人間より魔物の方が多い気がするし。
「いやーー、やっぱり来て良かったでしょ? 私の言った通りだったね!」
「おいおい、出発前あんだけ行きたくないとか言ってたのに。まあ予測はしてたけどね」
「何よ! 私は忘れましたそんな事ーー! それより早くあの大きい塔行ってみようよ! 頂上に行けば多分街全体を見渡せるよ!」
マイトさんに向かえと言われたのもあの建物だし丁度いいか。
「ミラ、あまり走るなって。危ないだろ!」
「大丈夫だよ! ぶつからないもっっうわ!!」
ミラは派手に通行人にぶつかった。
「すいません、俺の連れが迷惑かけて」
「いやいや、私も不注意でした。資料で前が塞がってしまっていてすみません」
うさぎの耳を頭に生やしている所以外は普通の綺麗な女性だった。
「ならお詫びにお持ちします。どちらまでですか?」
「ありがとうございます。じゃあ、あの1番高い塔までお願いします」
「奇遇ですね! 俺達もあの塔に向かう所だったんですよ」
「もしかしてあなた達、警備団の入隊者ですか!?」
「はい! マルタ村から来た、リュウと、マルーとゴリラじゃなくて、ミラです」
ミラからの殺気を帯びた視線をビシビシと感じた。
「じゃあ本当に丁度良かったですよ。私は聖都警備団天の隊所属キャロラインです! 主な仕事は新人の案内です。みての通り兎族ですこれからよろしくお願いしますね」
萌えーー! じゃなくて。
「はい! よろしくお願いします」
「では塔に向かいながらこの街の事とか警備団の事を説明していきましょうか」




