第15話警備団
久しぶりの投稿です!間空いてすみません。
第15警備団
「おーー! お前がリュウか! ミラから話は聞いてるぞ。大狐をほぼ1人で倒したんだってな! すげぇな!」
俺が小屋に入るやいなや喋りかけきた男は椅子に座っていても相当体を鍛えている事が分かる、ムキムキな男だった。
「すいません。まず、どちら様ですか?」
「ああ、悪い悪い。名乗ってなかったな。俺の名前はマイト! 聖都警備団大地の隊所属だ」
警備団か。現界でいう所の警察とかの役割の事なのだろうか。
「警備団とはどういうことをしているんですか?」
「警備団は主に街の見回り、祝福者の犯罪の取り締まりなどと聖都を守るのが主な仕事だな。警備団に興味を持ってくれたのは都合が良かったよ」
「どうしてですか?」
「この村の村長からの大狐の報告を聞いてな。優秀な3人を警備団にスカウトしに来たという訳なんだよ」
「申し訳ないですけど俺は嫌ですよ。今この生活に満足してますからね」
「そこをなんとか頼む!」
マイトは俺に向かって頭を下げて頼み込んでくる。
「いや、そうは言われても他の2人は良いとは言わなかったんじゃないんですか?」
「マルーにはまだ聞いてないがミラは即決で行く行く言っていたぞ」
そうだったーー! よく考えたらミラは確実に行くと言うはずだ。ミラみたいな好奇心の塊が聖都への誘いを断れる訳がない。どうしたものか、どうにかミラを説得して村に残りたいと言わせよう。
その時ドアが開き、ミラがマルーを連れて勢い良く入ってきた。 息を切らしながらミラは俺の方を何か言いたげに見ている。
「話は聞いたでしょ!? もちろん一緒に来てくれるよね?」
ミラには悪いが俺はわざわざ危険がここより確実に多い聖都には行きたくないし、ここでダラダラ生活していたい。第一にミラが行きたい理由も楽しそうだからとかそういう事ばかりだろう。
「悪いが俺は行きたくない。警備隊に所属する事になればどんな危険が待ってるか分からないし、ミラを守る事も出来なくなるかもしれない」
ミラはバツが悪そうにして、足元を靴でいじいじしている。
「リュウは反対しないで着いて来てくれると思ってた。私だって色々考えてたもん。どうせ…………楽しそうだから行くとか私がてきとうに考えてると思ってるでしょ! もう知らない!」
「ちょっと待ってよ!」
ミラは俺の声には反応せずにドアを拳で殴り壊し森の方に駆け出してしまった。
「あちゃーー、やっちゃったね。今のはリュウが悪いよ。あんなガサツでゴリラみたいな女でも考える事はあるんだよ。僕が連れて来られる時も聖都で魔法を学んで、もっとお年寄り達の病気を治せるようになりたいとか、村をもっと発展させたいとか、いつもならバカにする所だけど僕が関心するぐらいしっかりとした考えだったよ」
「ごめん。そんな考えてるなんて知らなかったよ、ミラの言う通り感覚で決めてると思ってた」
「すぐに自分の非を認められる所はリュウの良い所だね。でも言う相手が違うと思わない?」
マルーは壊れたドアを指差していた。
「さぁ、早くミラの所に行って話をしてくると良いよ。俺は2人の出した結論が俺の結論という事にしよう」
「わかった、後悔するなよ」
もうドアすらない扉を走り抜けながらナービはブレスレットに変わり、俺はブレスレットを素早く捻る。変身に使う為の鎧を全てバイクの生成に回し、一瞬でバイクに跨りハンドルを握る。
「ナービ!」
「分かってますよ。ミラの位置ですね? この先2キロの地点を高速で移動中です。このバイクならすぐに追いつく事が可能です。ルートを表示します」
「ありがとう! 話をつけてくる」
「私達はミラをいつも元気な女の子というイメージだけで考えてしまっていたのかも知れません。ミラも色々悩む事だってある女の子なのに」
「そうだな。それも含めて全部謝って、話し合おう」
「わっかりました! ではさらに飛ばします! しっかり捕まってください!」
◆◆◆◆◆◆◆
「見えてきました! ミラです!」
ミラに向かって声をかけるが、ミラはうつむいたまま目の前の木を殴り倒しながら森を爆走している。
ミラは走りながらこちらに向き直り大声で叫んだ。
「もう! 放って置いてよ! 私1人で行くから!」
「俺が悪かった、話し合おう!」
「そんな事がききたいんじゃない!」
「ならどういう事だよ!」
その瞬間ミラは木と木を蹴りながら俺に高速でタックルをかましてきた。俺は回避を出来るわけもなくバイクを置いてミラと抱き合う形になり森の茂み突っ込んだ。気がつくと木の根元に俺が寝ていてミラが俺に馬乗りになる形になっている。
そこでミラは俺から1番聞きたかったであろう言葉を耳元で囁いた。
「私と一緒に来いって言ってるの。あなたが必要」
「わかった。一緒に行くよ」
反射だった。軽い返事をするように簡単に答えていた。俺はハッとして、ミラの方を見るが言質を取ったから大丈夫だと思っているのか、憎たらしいがどこか憎めないそんな愛くるしい笑顔を浮かべていた。




