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第12話ミラの涙

12話目です。



 目をゆっくりと開くとそこには衝撃で大木が破壊されて空が吹き抜けになり満天の星空が見えた。


 体を起こそうとするが体の感覚が無く上手く体を起こせない。左手と右足は少し、動かせるが、左足の感覚はもう無く、完全に竜の足になったまま動かさなくなっていた。右腕は腐ったイチゴのように萎れている。


 上手くやれたと思う。妖天丸も倒せたし、このまま死んでも2人を助けられたんだ悔いはない。


 はっとし辺りを見回す、そこにはあんなに大きかった妖天丸の姿は無く、大木の内部が崩れて散乱しているだけだった。


 倒せなかったかだが俺に出来る事はもう何も無い、ナービも鎧が無くなってどうなったか分からない


「私はここです!」


 壊れかけたブレスレットからノイズがかった声がきこえた


「なんとか壊れていませんが、鎧の修復は1日ほどかかりそうです。それよりも、あなたの体の状態がひどい……。これはもう2度とまともに歩く事は出来ないですよ。竜の魔力の出力が強すぎて、体の回路がグチャグチャになってしまいました」


「そっか。もういいよ、元から動かなかったんだから」


「大丈夫ですよ! そんな顔しないで! 鎧をきていれば歩けるぐらいには私がします! とりあえず助けを呼ばないとですね。マルーとミラが木を倒れるのを見て近くに来てると思うんですけど、まだ来ませんね」


 その時大木内の壁が内側に倒れ、巨大な木の塊が頭上に落ちてきた。


「回避不可能です。すみません」


「ナービが謝る事じゃない、俺が選んだだけだよ」


 せめてナービを助けようと思い、ブレスレットを手首と地面の下に隠す。


「何をしているのですか!? どうにかして逃げてください!」


「もう無理だ、せめてナービだけでもミラに見つかれば助かるだろ」


「嫌です! 私はあなたの鎧です!」


「ごめんな」


 大木は目の前に迫り俺は覚悟を決め目をつぶった。あれ? 落ちて来ない目を開けると

俺はこんな状態にした見慣れた尻尾が落ちてきていた木を押さえていた。


「やっとお目覚めかい? 待ちくたびれてしまったよ」


「クソ狐がトドメを刺しにきたのか?」


「いやいや逆だよ、さっきは熱くなってすまなかった。 君を助けに来たんだ」


「信じると思うか?」


「信じるも何もこのままここにいたら、リュウくんは死んでしまうしね。君はその鎧を着るに相応しい人物だと思っただけさ。だから、もう無理にでも連れて行くよ!」


 大木は完全に崩れ始め、妖天丸の尻尾に包まれながら俺は大木から脱出した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「もうこのクソ狐しつこい! 消しても消しても湧いて出てくる!」


「それに関しては同感だ。あと、君がガサツな倒し方をすると、こっちに狐が飛んで来るからやめてくれないか?」


「本当うるさいわね……。マルー、黙ってなさい!」


「これだからガサツな女は嫌いなんだ」


「なんか言った??」


「いいや何も」


「もう、リュウ! マルーになんとか言ってやってよ!」


 さっきまで居たはずのリュウの姿はなく、森の奥に向かって走り出していく。


「おーーい! リュウ! 待ってよ!」


 リュウは振り返りもせずにどんどん奥に進んでいった。


「どうしようマルー! リュウがどっか行っちゃったよ!」


「そんな今にも泣きそうな顔でこっちを見ないでください、反応に困ります。会って日は浅いですがリュウは理由も無く逃げ出す男じゃないと思います。まずはこの狐達を倒してから追いかけましょう」


「一言多いよアホ。それは分かるけどさ、その理由をリュウは私に言ってくれなかったじゃん」


 私は涙で目を滲ませながら、狐達を潰してく。しばらく狐を倒していると狐達は一気に煙になって消えていった。


 マルーの方を見るとそれ見た事かとドヤ顔で私の方を見て来るので、ムカついて腹に1発食らわしてからマルーが居た方向に走り出した。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 リュウが居た方向に向かって走りしばらく経つと大きな大木が見えたが、見えた瞬間に爆発が起こり、大木は四方に木の破片を飛ばしながら倒れていった。


 私はそれを見てまた涙目になったが、大木内にマルーが見えたような気がして完全に泣いてしまった。全魔力を足に集め最高速度で大木に向かった。


 大木の下に着く頃には完全に大木は倒れており、内部には入れないようになっていた。


 だけど、その代わりに木の下には大きな狐がマルーを尻尾で攻撃していた。


 私は今まで生きてきた中で一番の雄叫びをあげ狐に突撃したが、マルーに腕を引っ張られ、「よく注意して見ろ!」と怒鳴られた。


 確かに攻撃はしていない、むしろ治療しているように見えるけどリュウの痛々しい姿を見た瞬間に狐の事などどうでも良くなり私はリュウを抱きかかえ、神に祈った。


 神様、どうかリュウを助けてください。



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