大きな桃が流れてきたぞ
大きな桃が流れてきたぞ
昔あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。
お婆さんは山に柴刈りに、お爺さんは川に洗濯に行きました。
お爺さんが川で洗濯をしていると上流から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
お爺さんはお婆さんが喜ぶと思い、桃を持って帰ろうとしましたが、大きな桃が流れるほどの大河です。
水深も深くとても中央付近を流れている桃を取ることができませんでした。
お爺さんはしょんぼりしながら家に帰りました。
お爺さんが家でお米を炊き味噌汁の具を刻んでいると、お婆さんが薪と仕留めた鹿を担いで帰ってきました。
二人は鹿鍋をつつきながら今日あった事を話します。
お婆さんは運よく鹿の首をへし折って仕留めた話を、お爺さんは大きな桃を持ち帰れず残念だったことを話しました。
「わたしゃ、そんな気持ち悪い桃なんてあっても食わんよ」
お婆さんの言葉にお爺さんは納得しました。
ああ、これでよかったのです。
お爺さんはお婆さんの尻に敷かれて末永く幸せに暮らしましたとさ。
――桃の行方――
お爺さんに拾われなかった桃は運良く?川を引っかかることなく海までやってきました。
下流の漁師は桃を見つけましたが気味悪がって近づこうとはしません。
桃はそのまま流れて鬼が島に打ち上げられました。
鬼たちは喜び桃を持って自分たちの住処に帰りました。
鬼たちは大きな太刀を上段に構え桃を切ろうと斬り下ろします。
パシッ!
「死ぬかと思った」
桃から太刀を真剣白刃取りをしている男の子が出てきました。
鬼たちはびっくりしましたが、桃がおいしそうだったので男の子の事はいったん脇に置いて食べ始めました。
「はよ食べな無くなってしまうで」
男の子は鬼の女の子に促されて一緒に桃を食べました。
桃を食い尽くした鬼たちは男の子に名前を尋ねます。
「俺の名前は桃太郎です」
「「「「「「「「まんまやん!」」」」」」」」
盛大な突っ込みが入ります。
桃太郎はいじけてしまいました。
「桃太郎ってかっこいい名前やと思うわ」
桃太郎は桃を一緒に食べた女の子に褒められて笑顔を取り戻します。
「ちょろいな」
主人公スキルにより女の子の呟きは桃太郎には聞こえませんでした。
その後、桃太郎は女の子と結婚し、こき使われて幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし?
ふと思いついたので書きました。