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8/12

父様?ご飯冷めますよ?あ、八話です。

食事を貰い、寝床を貰い、知識を貰い、名前を貰った。それは、俺が産まれた時から無意識の内にずっと求めていた物で。この二人は、俺が幾らもがいても手を伸ばしても手に入らなかった「幸せ」をいとも容易く俺に与えてくれた。この二人は、今でも俺の恩人だ。俺はあの後、金ノ國で九十年程お世話になった。勿論仕事をして、できる限り二人の家にお金を入れた。多少難しいし力も必要で、夜にもいきなり仕事が入る様な職だったが、親父に鍛えられたせいか、多少寝なくても問題は無かった。流石に半年間睡眠を取らなかった時にはゼトに怒られたし、シャルには泣かれた。それからは、少なくとも三日に一度は寝るようにしたが、二人はやはり不満そうだった。多少ふらふらしても別に死ぬ訳では無いし、死んでも生き返るのに。


あの家での生活は、とても楽しかった。忙しかったけれど、充実もしていた。然し、ある晩俺はふと空を見上げた時、思ってしまったのだ。嗚呼、月が綺麗だ。そう思うともう居ても立っても居られず、置き手紙をシャルとゼトの枕元に置いて、久しぶりに翼を広げて旅立った。シャルとゼトには、それからもうずっと会っていない。俺は、約千年間旅をしていた。金ノ國から紅ノ國へ。紅ノ國から碧ノ國へ。そして、碧ノ國から翠ノ國へ。今度の旅の終着点は、翠ノ國の或る穏やかな山だった。そこで、俺は師匠と出会ったのだ。

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