第七話っ!まだまだ回想だよっ!
だから、親父の名前に肖るのも別に問題は無い。親父がカラスならば、俺もカラスだ。カラスの親子なのだから、似た者同士だろう。俺はゼトの部屋の図鑑を少々拝借し、カラス、の単語を調べた。然し、この辞書は金ノ國の辞書の様で、名前らしい名前は出てこなかった。カォアーもカーグも何だか違う気がする。そこまで調べた所で目が疲れ、頭が痛くなった。何かいい言葉は無いだろうか。カラス...カォアー...カーグ...後は...?
レイヴン、と後ろから呟く声がして、俺はバッと振り向いた。そこには、先程まで居なかった筈のシャルが笑顔で立っていた。シャルは気配を消すのが得意な様で、黒ノ國で五年間暗殺業を営んでいたらしい。相変わらず恐ろしい。シャルに寄ると、レイヴンは紅ノ國の妖怪言語で「大カラス」というらしい。親父を超えられる様に、という意味で大カラス。レイヴン、レイヴンか。少し言い難い。然し、折角シャルが教えてくれた言葉だ。これにしよう、と言うと、シャルがぱあっと顔を輝かせた。こんな時は、どうすればいいのだろう。確かゼトは、シャルの頭に手を置いて、少し髪を梳く様にして...こう、だったか。頭をできる限り優しく撫でてやると、シャルはにこにこと笑って大人しくしていた。完全に気を許してくれたのだろう。俺も、何故だか頬が緩んで行くのを感じた。