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ろく、ろく、ろっく話〜!

そう、俺は親父に何時も「お前」とか「ゴミ」とか呼ばれていたから、それらしい名前など貰った覚えは無い。嗚呼、「俺の玩具」もあったな。だが、俺はそんなことどうでも良かった。生きる事に必死で、名前など気にした事も無かった気がする。だが、外の國で生きていくには名前が必要だろう。親父の名前にでも肖ればいいのだろうか。然し、そういえば俺は親父の名前も知らない。聞く必要も無かったからだ。だけど、一応知っておいて損は無いだろう。粥を片していたゼトにさり気なく聞いた所、親父の名前は「クロウ」というらしい。クロウ。確か、紅ノ國の言葉で「カラス」だ。...親父、前俺の事を「嫌われ者のバカラス」って言ってなかったか。親父もカラスじゃねぇか。


俺は、別に親父の事が嫌いな訳ではない。拷問官といえども國で一番なのは尊敬出来るし、親父は気に入らない奴は数秒で殺してしまう事も知っている。だから、きっと俺は親父に嫌われていた訳では無いのだろう。俺に付けた全身の傷も、きっと親父なりの愛情表現だったのだ。それが、息子への情では無くても。只の玩具への愛着だとしても。だから、俺は別にあのまま親父の遊び場で囲われていたって構わなかった。


だが、あの日。監獄の様な國の、監獄の様な部屋の窓から、一瞬だけ月の光が見えた時、俺は知らぬ内に飛び立っていたのだ。余りに綺麗だったから。もっと見たいと願ってしまったから。

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