三話ですぜ!あ、残酷描写とほんのりな性的描写注意ですぜ!
黒ノ國は、機械やビルに囲まれた無機質な國だ。そして、その國には倫理観や道徳なんて存在しない。クローンや人造人間が街を支配し、妖怪を殺戮していた。
俺は、或る科学者が戯れに造った人造人間だった。しかも、カラスの遺伝子と人間の遺伝子を組み合わせたデザイナーベビー。そして、その科学者...母さんは、俺を造るだけ造って興味を失くしてしまった。そして、國で一番の拷問官...親父に俺を引き渡した。
そこからは、地獄の日々だった。嗜虐趣味があった親父は、俺を鍛えるという建前で毎日俺を虐待した。俺は人造人間だから、どんなに身体が欠損しても直ぐに治ってしまう。親父はそれをいい事に、毎日俺の腕を折り、脚を潰した。背中の羽根も、少しずつ千切り、破り、折って、切り落とした。身体を丸ごと焼かれた事もある。食事は毎回毒が盛られていたし、性的な虐待も何度も受けてきた。
然し、そんな激痛と恐怖しか無い日常の中で、気付いた事もあった。俺の腕は折られる度に強靭になり、脚は潰される度に俊敏になった。羽根も、切り落とされる度に力強く、美しくなった。皮肉にも、親父が建前としていた言葉の通りに俺は強くなった。そして、俺が16歳になった日に...俺は、ベランダから國の外へと飛び立った。いつでも排気ガスに包まれた空を抜けると、そこには俺の羽根と同じ色が広がっていた。黒い絵の具をぶちまけた様な黒、黒、黒。そして、その中で光り輝く月。この世界の美しさに、俺は酷く目が眩んだ。但し、俺は長くこの美しさに見蕩れていることは出来なかった。この羽根は、思ったよりも扱い辛かったのだ。一度羽ばたく度に墜落しそうになり、死を覚悟した。それでも、何とか塀の上に辿り着いた時、俺は塀から飛び出してきた無数の矢に貫かれ...下に、下に堕ちていった。