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はぁ...もう十話ですか。父上はもう放って置いて、朝食を頂きましょう。

俺は、また置き手紙を置いて旅立った。俺は断固として弟子は取らなかったから、そこまで混乱は起きないだろう。多分。然し、俺は飛びながらふと気付いた。行く宛が無い。俺はこの時期、学ぶ楽しみに心を奪われていたのだ。だから、弟子も取らなかったし妻も娶らなかった。其れなりの縁談は持ち掛けられたが、冗談ではない。俺は未だ十六歳だ。精神的には。とにかく、俺は全力で学びたかった。何か、未だ俺が知らない事を。


取り敢えず、俺は次に学べそうな所を求めて、巷で噂の「都」へと向かった。人が集まる所には情報も集まるだろうと思ったのだ。案の定、都では色々な噂が飛び交っていた。妖怪、幽霊、陰陽師。仙人の情報もあった。とにかく有力な情報を片端から探り、色々な所に弟子入りをした。高名な陰陽師の式となり、仙人の弟子となり、時たま幽霊の話し相手となり...そうして、月日はあっという間に過ぎていった。


ある晩、俺はある村の土地神に弟子入りしようとした。すると、その村の祠の前には未だ一つにも満たない赤ん坊が捧げられていた。ちらりと祠の中を見ると、其処には土地神の亡骸の上に巨大な蛇神が蜷局を巻いていた。蛇神はこちらに気付くと、直ぐ様俺に飛び交ってきた。然し、俺も伊達に数千年生きては居ない。陰陽師に習った結界を貼り、山伏に教わった体術を掛け、仙人に習った火吹きで丸焼きにした。蛇神の丸焼きは、鶏肉の様で美味かった。そうして、俺は赤ん坊の存在を漸く思い出した。


暫く思案したが、取り敢えずは村の長の家を訪ね、赤ん坊をどうすれば良いか訪ねた。長は暫く顔を青くしながら話を聞いていたが、話を聞き終わった後は俺の手を握って感謝の言葉を述べだした。是非とも御礼を、と娘を差し出そうとしたが、冗談ではない。俺は未だ結婚する年でもない。筈だ。そう告げると長は、では何を、と聞いてきた。俺は暫く考え込み、漸く思いついた。家が欲しい。そう告げると、長は村の若い衆を連れて山を登って行き、巨大な神社を建て始めた。こんなに大きく無くても良かったが、是非と言うなら仕方が無い。


そうして完成した神社で、俺は赤ん坊の世話を始めた。乳母を雇ったり、食事を作ったり、遊んだり、色々と手を尽くした結果、赤ん坊はすくすくと成長した。俺は、この赤ん坊を壱とした。壱が八歳になった時、神社の門をとんとん、と叩く音がした。何だ、と戸を開けると、そこには男女の赤ん坊がすやすやと眠っていた。

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