顔で選んで何が悪い
「最低」
今年に入って五度目の告白の答えがこれですよ。
付き合ってくださいっ、と言った時の反応は良かったのに、どこが好きなのと聞かれて
「顔が好き」
って言ったら、まるで別人の様に表情を強ばらせて一言。
「最低」
今年に入って五人目。
社会人になって二十一人目。
「なんでっ」
「顔にはその人の全てが詰まってるっ」
「生まれもったものから、その人の生き方、性格、そして今の化粧にいたる過程全てがっ」
「それら全てを好きになり、さらに見えないところも知りたいという想いが何故理解されないっ」
「ハイハイ、失恋残念だったね〜」
「んじゃ、かんぱーい」
「乾杯」
こいつは俺の友達。
チャラさを絵に描いたような髪型、眉毛、服装をしているにも関わらず、女受けは良い。
あと、瞳だけは優しい瞳をしている。
根はいいやつだと思う。 毎回、フラれる度の残念会に付き合ってくれるし。
俺の奢りだけど。
「なあ、なんで俺のこの考えが理解されないと思う」
俺が何度聞いたか分からない質問をこいつにぶつける。
「だから、正直に言っちゃダメだって」
「どんだけ派手に着飾っても、内面を見て欲しいと思ってるんだから」
「自分がそう言われたらどう思うのよ」
「知り合って間もない人に、顔が好きだから付き合ってって言われたら」
「俺は嬉しいけどな」
「なんかこんな俺でも認められた気がして」
「生きてて良いんだって」
「どんだけだよ」
「ま、俺はタダで酒が呑めるからフラれてくれた方がいいんだけど」
「いいや、今日が最後だっ」
「次は彼女を連れて呑みに行くぞっ」
「聞き飽きたよ、それ」 「あ、すいません〜」
「生おかわりで〜」
「はい、かしこまりました〜」
「あ、あの子かわいいな」「顔がタイプだ」
「次の残念会も予定しておくか…」
「よ〜し、仲良くなるために注文しまくるぞ〜」
「最低っ」




