うしおの孫
ハビルビアに飛ばされてから一月ほどたっている
俺の仕事は領主館での雑用でパシりに近い。
本当に何でもやらされた。
草むしり、害虫駆除、館内食堂の仕込み、外側の窓だけ掃除、何故か町の猫?っぽいの探しまで何でもする。まぁ楽しいからいいんだけどさ。
おじぃはと言うと相変わらず護衛をしている。
治安がいいなら護衛なんかいらなくね?とおもったが、そう上手くはいかないらしい。
俺らみたいな変な奴ら、時たま居るらしく小さな村へ行くにしても護衛が必要との事。
そろそろ落ち着いてきたし帰る方法も探さなくては
いけない。
おじぃは本当に帰りたいのか?最近は老人の恋を邪魔したいとおもわないしな。
あっという間に2ヶ月たったころおじぃと僕はラルさんに呼ばれた。
「今日は少し話しがあってね」
白髪が少し薄くなってる気がした
「君達が何処から来た誰なのかって事だ」
別に隠すつもりはないが最初からこうなるだろうとは思っていた。
「話しても多分分かりませんよ?俺らも良く分からないんです」
石が他にもあればいいが
急におじぃが良く分からない事を言い出した
「まぁ、なんだ。フィーから色々聞いてるんだよ。コイツらが探してるのは多分俺らしい」
は?定年過ぎたおじぃを?
「うん、全然わかんない」
「俺らみたいに迷ってくる人間。数は少ないが今までに何人か居たとよ」
「なんでおじぃ一人?」
「あの石一人専用説」
ちょっとひどくね
「俺体軽いし目も良くなって頭も良く回ってる」
最後のは無いとして
「それだけだと理由として弱い」
「ばれた?」
今さら適当かますなよ
「本当の事言うとキジムが探してる」
やっぱ宗教胡散臭い
「フィーが言うにはキジムの神木の苗床に使われるって事だな」
苗床ってなんだそれ、きもい
「死にかけの神木を元に戻せると」
「おじぃ、もちろん断るだろ?」
「ちょっと考え中」
おじぃの頭は満開らしい
最悪だ
「で、結局ラルさんはおじぃにどうしろと」
白髪がまた薄くなった気がした
「私としては本人の意志にまかせたいがね。国はうしおさんをキジムに渡したいだろうね」
なんだそれほぼ強制だろ
「まだ時間はある、もう少し考えてみてくれ」
おじぃはずっと笑顔だった
部屋に帰るとおじぃはいつも通り。
「おじぃ、勝負するか?」
「なにを」
「俺が一月で帰る方法探し出せたら帰る。駄目ならおじぃはキジムに行く」
おじぃは少し考えた後笑って答えた
「出来るならなー」
久しぶりに気分が良かった。
俺はおじぃの孫らしい
俺も何故か笑っていたから