反逆の定年
あの最悪な夜から一週間、俺は執事のマルトーさんにハビル語を習っている。
少しづつではあるが単語が分かって来たぐらいなもんだ。
学生なのに情けない。なんて言わない。
何故ならイラついてるからだ。
最初は俺もおじぃも四苦八苦していた。
しかし三日間あたりからおじぃがフィーとポツポツとではあるが会話が出来ていたのだ。
65のおじぃに負けたショック、さらにまるで恋人同士がお茶を楽しんでいるだけの授業。
そんなもんちらつかれたらヤル気も無くなる
仕方ない
「おじぃ、どうせもう覚えたろ?フィーとデートでもして来いよ」
フィーはデートって言葉を教えてもらっていたのか嬉しそうだが、おじぃは渋い顔。
日本語で
「金がない」
そういやそうだよな、ただ飯食らって金までせびるなんてさすがに無理か。フィーが勘違いしなきゃいいけど。
「おじぃもう働いたら?体力余ってるんだろ?仕事があればだけど」
するとおじぃとフィーがニヤニヤしながら出て行った。
何か余計な事言ってしまったか?
嫌な笑顔を見てから一週間、特に何も起きていない。一々聞くのも嫌なので放っておく。
マルトーさんは不出来な僕に一生懸命教えてくれた。ここハビルビア王国の事も少し分かった。
建国したのが大体七百年ほど前で国王の名前がそのまま国の名前だ。言語は勿論ハビル語で治安も良いとの事、属国が3つほどあり大陸の西側はほとんどハビルビアと思っていい。ちなみに大陸の大きさは分からない
キジム神教国は大陸東側を全て一国で治めている凄い国らしい、胡散臭いがフィーさんもキジムの神官だとさ。
この二国では戦争も二百年ほど起きていないらしい。
そんなこんなでゆっくりの会話ぐらいなら出来るようになったのだ。頑張った、おじぃにはムカつくがマルトーさんありがとう。
「おい、たつ」
来たか。
「なんかあった?」
「仕事決まったぞ」
そりゃ良かった。
「おじぃ、おめでとう。さすがに歳だから心配してたんだよ」
「何言ってんの?お前のだよ」
はい?
「ちょっと待て、おじぃ。俺まだ完璧に覚えて無いんだけど」
「馬鹿言うなよ、お前いつまでただ飯食うつもりだ」
正論やめて
「おじぃはどうすんの?」
「俺もう働いてるし」
は?
「ほら、フィーの護衛」
おばぁに殺されればいいのに