不細工詐欺
今さらながら俺の名前は紫龍男、単純に辰年だから。おじぃは紫牛男、丑年じゃないけどうしお。まぁだからどうしたって話しだけど。
島の田舎でおじぃおばぁと妹とで四人暮らしだ。
俺は今高校の寮暮らしなので、今は三人だ。
両親は普通に生きてるがしばらく帰って来ていない。島にはあまり仕事が無いから仕方ない。
おじぃは農業しながらなんでもする人だ。
海も山も川も色々知ってる、ちょっとおかしいけど俺はおじぃが好きだし尊敬もしてる。
「たつ、そろそろ起きろ」
そういえば昨日石が光って変な場所に居るんだよな
「おじぃおはよう、なんかあった?」
「特に何も無い、けどなんだか静か過ぎてな」
おじぃはこのへん鋭いからなぁ
「何も無いならいいじゃん」
「動物をまだ見てないからなんとも言えないな。お前が言ってた異世界やら惑星やらなら対処出来る気がしない」
「そろそろ動くの?問題は方角がどうなってるかだよね」昨日は太陽?が普通にあった。
「太陽があったろ?一応それ目印の南方向へ進むか。途中に川がありゃ下ってもいいしな」
水は石を洗うために結構な量がある、ただ重い。
おじぃは元々力が強いが何故か軽々と持っている。
「昨日体が軽いって話したろ?それでお前が寝てからいろいろしてみた。結果、多分力が強くなってる。目も良く見えるしな、たつ、お前なんか変わったか?」
変わったって言われても、俺は特に変わった事なんて無い。
「いや、なんにも変わってない」
「まぁいいや、とりあえず行くか」
おじぃの若返りかよ、俺なんもないのかな?超能力とかあったりして。
「止まれ」
おじぃが静かに言った。
「何か居る」
俺は目を凝らしてその方角を見る
「おじぃ、なんだあれ」
「さぁな、初めて見るが肉食ではなさそうだ。あれ食えると思うか?」
その動物はバクに似た体型でドブの様な色の体毛にナマケモノを崩した感じの顔ではっきり言って食いたくない。
「あれ食うの?不味そう」
「食料が無いしな、下手な草食うよりはましだろ?毒も無さそうだし、なんてったって不細工は美味いって決まってるからな」
誰が決めたんだよそれ
「本気?鉈でやるの?」
「挟み撃ちする、お前正面から突っ込んで逃げろ。後ろから割る、合図したら突っ込め」
「はいはい、分かりました」
なんだか一人だけ楽しそうでムカつく。
逃げてくれないか祈りつつ待つ。
そういや合図ってなんだよ。
その時光が目に入った。っと時計かよちゃんと説明してくれ。
鉈構えて駆け出した。「うおぉぉぉぉ!!!」途中まで叫びながら近づいて急いで離れる。
おじぃ気付かれた!
けど直ぐ仕留めたか。振り向きざまの一発は効くだろうな。
「おじぃ、大丈夫?」
「ちょっと危なっかった。見てみろ爪」
さっきは遠くで分からなかったが爪が10センチ程ある。これはヤバい、正直顔に騙された。
「次からはどんな動物でもやり過ごす事にした。死骸も捨てて行こう。無駄に殺してしまったが危険過ぎる、早く人の居る所を探す。」
おじぃ、ちょっと焦ってるな
俺ちょっと怖くなってきた。大丈夫か?