プロローグ
はい、一回書いてみたかったです!
乙女ゲームもの、書いてみたかったのです!!
その日、あたしは幼馴染の赤神圭汰と一緒に学校の帰り道を歩いていた。
圭汰はイケメンである。赤っぽい茶色の髪、スッとした鼻筋、切れ長の赤い目。どれぐらいイケメンかというとカフェで一緒にのんびりしていると女性の人たちにものすごく睨まれるくらい。そして当たり前化のように勉強もできて頭もいい。常に学年トップ。羨ましい。羨ましいけど羨ましすぎてもはや嫉妬なんて通り越して尊敬。身長178cmと長身。
そしてこのあたし、高瀬未冠。通称、ミカちゃんだ。
あたしの顔は平凡。黒い肩までの髪、普通の大きさの目。ちなみに学校では平凡の女王様なんて呼ばれるぐらい。そしてこのあたしの変な名前。未冠が登場する。よく小さいときに「おーいミカーン!お前っておいしいのかー?」って男の子にからかわれた。そのたびに圭汰が守ってくれたけどね。でもそのあとお母さんになんで未冠って名前にしたの!って怒ったら「え?だってミカン、美味しいでしょ?」…お母さんは、大のミカン好きだ。うすうす感じていた。うん、感じていたんだけどね。脳内から無意識に削除していたらしい。……お母さんは、天然だった。そしてその日も、高校生の男子に「ミカーン!」とからかわれていた。
「ねえ!ミカン!」
「……」
「…先輩」
「ミカンー!!」
「……」
「……先輩。」
あたしをからかっているのは蒼水穂帥先輩。素晴らしい名前だと思う。そして顔も素晴らしい。校則違反!と叫びたくなるほどとげとげしてるツンツンな金髪、釣り目気味な緑っぽい青目。この前穂帥先輩を見て泣いてる子供を見たよ、あたし。なのに美形。その不良美形の前で圭汰は不機嫌そうな顔をしていた。その圭汰はなぜか今日、反応が遅かった。見た感じ、圭汰は持っているリュックを漁って何かを探していたからだと思う。
「…無視するなよっ!!」
ドンッと押された。そのまま、倒れこむあたし。穂帥先輩は焦ったような顔であたしに近づき、抱き起した。
「ごっ、ごめん!! まさか、倒れるとは思わなくて……ミ、ミカン?おい、ミカ!ミカ!!」
「…先輩、退けてください。ミカちゃん…いえ、ミカは体が弱いんです、先輩のような不良に突き飛ばされたら、倒れるに決まってるじゃないですか。それに、ツンデレもいい加減にした方がいいですよ。…ミカ、ミカ、だいじょうぶ?」
あたしは気を失ってはいないがしばらくは動けなさそうだった。。そんなあたしを圭汰は抱き上げ、穂帥先輩を睨んだ。…自分でも思う、か弱すぎだろう、って。押されたぐらいでなんでこんな…。睨まれた穂帥先輩はビクッと震えていた。心配、してくれたんだろうか…。なら、いいかな。穂帥先輩、優しい人だし。
「ミカ?……気ィ、失ッチャッタ?」
その圭汰の言葉で、あたしの頭の中でナニカがフラッシュバックした。
『 ~ 君 と 一 緒 に 七 色 の 夢 を ~ 』
『メイちゃん…んーん、芽衣子。君は、僕のそばにずっといてくれるよね…?』
『メイ…!もう、離さない』
『……メイ。お前は、もう俺のものだろう?』
『メイ!…どこに行く気ですか? もう…駄目じゃないですかー可愛いってこと、自覚してくださいよ。じゃなきゃ、食べちゃいますよ?』
『メ・イ・ちゃん! ストックの準備は、できたよ!これでずっと、一緒だねぇ…』
『……………メイ。一緒に死ぬか…?』
そうだ、ここ、乙女ゲームの世界だ。
しかもあたし、脇役じゃん!